相続税の控除と二次相続

二次相続とは

二次相続について説明させていただきます。ここでは説明の便宜上、子が一人で、父親が先に死亡し、その後母親が死亡したと仮定します。

まず、「父親が死亡した際に発生する相続」のことを一次相続といいます。この際、母親と子の二人が相続人となります。

これに対して、二次相続とは「母親が死亡した際に発生する相続」のことを言います。この場合、相続人は子の一人だけとなります。ここで考えられる二次相続の問題点として、以下の点が挙げられます。

  • 相続人が一時相続の際よりも一人減るため、基礎控除の額が下がる
  • 配偶者控除が受けられない
  • 両親が二人で暮らしていた場合、小規模宅地等の特例が利用できない​

また、父親の死亡から10年以上が経過してから母親の相続が発生した場合、相次相続の適用もできないこととなります。二次相続にはこのような問題が発生することとなるため、早期から対策をすることが有用となります。

 

二次相続の対策

ここからは、二次相続の対策について説明させていただきます。

一次相続において相続する財産の調整を行う。

  • 両親と子が同居していた場合、自宅は配偶者ではなく子が相続し、小規模宅地等の特例を利用する
  • 価格の上昇が見込まれる財産(株式等)は、配偶者ではなく子が相続する
  • 貸家(アパートなど)は、配偶者ではなく子が相続する。

まず、自宅について説明します。自宅を相続する際、同居している場合には小規模宅地等の特例を適用することができます。もちろん配偶者が相続し、小規模宅地等の特例を適用することも可能ですが、配偶者には配偶者控除が適用されるため、あまりうまみがないことがあります。したがって、子が自宅を相続し、小規模宅地等の特例を適用することが有用となります。

また、価格が上昇する見込みがあるものは、早期に相続することが有用となるため、一時相続の段階で子が相続することが、二次相続の対策となります。

さらに貸家については賃貸収入があるため、配偶者が相続した場合、二次相続の相続財産が増加する原因となります。したがって、子が相続することが、二次相続の対策となるのです。

  • 生前贈与を行う
  • 生命保険に加入する

生前贈与や生命保険の利用は、二次相続に限った話ではありませんが、二次相続においても非常に有用であるため、紹介いたします。

まず、贈与税は「贈与した金額から、基礎控除額の110万円を控除した金額に対して課税する」というものです。したがって、年間110万円以下の贈与であれば、贈与税はかかりません。

また、生命保険は、相続人が受けとった死亡保険金のうち「500万円×法定相続人の数」だけ控除することができるため、その分相続税の計算上も有利になります。

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