小規模宅地の特例と養子の関係

相続が発生した場合において、孫に不動産(A土地)を取得させたいときに、小規模宅地の特例の適用を受けることはできるのでしょうか。

小規模宅地の特例の適用対象者は、個人が相続又は遺贈により取得した財産のうち、と規定されていることから、遺贈による取得でも問題ありません

したがって、孫が相続人以外のケースであっても特例を受けることができます。

あらかじめ、孫にA土地を遺贈させるとした遺言書を作成しておき、孫がその遺言通りに土地を取得し、他の小規模宅地の特例の要件を満たせばよいということになります。

その他、遺言書を作成しない場合においても、孫と養子縁組をすれば、孫も相続人に含まれることになります。相続人全員が遺産分割協議において取得者を決めることになりますので、孫養子が遺産分割協議でA土地の取得者となり、他小規模宅地の特例の要件を満たせば適用を受けることができます。

ただし注意点としては、孫(代襲相続人である場合を除きます。相続発生前において子がすでに亡くなっている場合を指します。)が財産を取得するときは、孫の相続税額にその相続税額の2割が加算されることになります。遺贈の場合であっても、孫養子が相続する場合であっても、この点は変わりません。

 

不動産取得税等との関係

不動産取得税は、相続人に対する遺贈については課税されませんが、相続人以外に対する特定遺贈※1には課税されることから、この場合は孫と養子縁組を行い相続人(孫養子)とした方が、不動産取得税がかからなくて済むというメリットがあります。

また、包括遺贈※2で取得した場合も不動産取得税はかかりません。ただし包括遺贈の場合、包括受遺者は、法定相続人と同じように、プラスの財産のみならずマイナスの財産(借金)も取得することになります。

登録免許税は、相続及び遺贈のいずれの所有権移転登記の場合においても、名義を変更する際に課税されます。相続(0.4%)と遺贈(2.0%)とでは、税率が異なります。ただし、相続人に対する遺贈は、相続として取り扱われます。

※1 特定遺贈とは、「Bに〇〇の土地を遺贈する」のように、遺贈する財産を特定する方法です。
※2 包括遺贈とは、「Cに相続財産の〇〇%を遺贈する」のように、遺贈する財産を特定せず、割合を指定する方法です。

 

最後に

小規模宅地の特例は、この他にも要件がありますので、適用に当たっては専門家にご確認ください。

 

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