相続税の納税猶予と利子税
農業を営む方にとって相続税の納税猶予の特例は力強い味方です。
では、納税猶予の特例の適用をやめた場合、どうなるのでしょうか。ここでは納税猶予の適用をやめた場合に納付が必要になる、利子税についてご案内します。
相続税の納税猶予の特例の適用をやめたらどうなるか
相続税の納税猶予の特例は以下のいずれかに該当することとなった場合は、その農地等納税猶予額の全部又は一部を納付しなければならないとされています。
1. 特例農地等について、譲渡があった場合
2. 特例農地等に係る農業経営を廃止した場合
3. 継続届出書の提出がなかった場合
4. 担保価値が減少したことなどにより、増担保又は担保の変更を求められた場合で、その求めに応じなかったとき
5. 都市営農農地等について生産緑地法の規定による買取りの申出があった場合や都 市計画の変更により特例農地等が特定市街化区域農地等に該当することとなった場合
6. 特例の適用を受けている準農地について、申告期限後10年を経過する日までに農業の用に供していない場合
さて、ここで納付する税額ですが、相続税申告時に猶予した、納税猶予額だけではありません。実は「利子税」の納付も必要になってしまいます。
利子税とは
そもそも利子税は国税について延納または納税申告書の提出期限の延長が認められた場合、その期間に応じて延納額に課される附帯税です。
税金が定められた期限までに納付されない場合に課される延滞税とは異なります。
一般に利子とは借りているものについて払うものとされています。
貸しているものについて受け取る利息と区別しています。
つまり納税猶予の適用をやめた場合、納税猶予の特例の適用を受けた日から、その納税猶予の特例の適用をやめた日まで「国からお金を借りているのと同じ状態」、つまり延納をしていた状態という解釈になるため、この「利子税」の納付が必要になります。
納付すべき利子税額
納付する相続税額については、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じて年3.6%の割合で利子税がかかります。
ただし、各年の特例基準割合(※)7.3%に満たない場合は、以下のとおりとなります。
(納税猶予額が免除される場合の農地については上記と計算が異なります。)
(算式)
- 3.6% × 特例基準割合(※) ÷ 7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
(例) 特例基準割合(※)が1.8%の場合
割合が年3.6%の場合・・・0.8%
(注) 特例基準割合(※)が変動すると利子税の割合も変動します。
※ 特例基準割合 【平成12年1月1日以降平成25年12月31日まで】 各年の前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合 【平成26年1月1日以降】 各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合 |
税額が気になったら
少し分かりづらい計算方法ですね。
しかし納税猶予を受けている土地の売却を考えた際など、利子税がどれだけかかるのかは必要な数字だと思います。
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