相続税における非課税、無税について

相続税を無税にできたら・・・

「改正で相続税が課税される人が増えたと聞くので、申告を税理士さんに頼んでみたら、意外にも相続税額はゼロ円になった。」という話は意外と多くあるものです。
また、「無税」とまでは無理であっても、税金を減らす要素は種々様々にありますので下記をご参考にされて下さい。

  1. 【1】基礎控除以下で、無税になる場合
  2. 【2】各種控除を適用した結果、無税になる場合
  3. 【3】特例を適用した結果、無税になる場合
  4. 【4】土地等の評価方法を検討することにより、無税になる場合
  5. 【5】生前対策により、無税になる(又は可能な限り無税に近づける)場合

 

基礎控除以下で無税になる場合

相続税は、亡くなった人(被相続人)が残した遺産を相続した人(相続人等)が取得した財産に対して課税される税金です。


相続税は次のように計算します

  1. (1)相続財産 -非課税財産=遺産総額
  2. (2)遺産総額 -(債務+葬式費用)+生前贈与加算=課税価格
  3. (3)課税価格 -基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額
  4. (4)法定相続人の法定相続分×税率
    =各人の相続税額(各人の相続税額の合計が相続税の総額)
  5. (5)相続税の総額×各人の課税価格/課税価格の合計額
    =各人の取得財産に応じた相続税額

 

相続税の課税最低限度額として、基礎控除額が下記のように定められています。

基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続の課税価格が基礎控除以下となった場合、相続税は申告不要となります。つまり、相続税については何もする必要がありません。
ただし、下記で述べます【3】等の何らかの特例を利用することにより、基礎控除よりも課税価格が下回った状態になった際には、税金が0円となった場合でも相続税の申告を行う必要があります。

代表的な特例としては「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といったものになります。申告を行えば税金を納めなくてすんだにもかかわらず、申告を行っていなかったことで、特例が使えなくなるばかりか、延滞税等のペナルティを課される恐れがありますので注意が必要です。

 

各種控除を適用した結果、無税になる場合

上記(5)で計算した「各人の取得財産に応じた相続税額」から、各人の状況に応じて各種控除があります。以下主なものを紹介します。

障害者控除

相続人に障害者がいる場合、85歳に達するまでの年数につき10万円が障害者控除額となります(端数切り上げ)。
また、特別障害者の場合、1年につき20万円の控除が認められています。

障害者控除=(85歳-相続開始時の年齢)×10万円 [特別障害者の場合は×20万円]

未成年者控除

相続人に未成年者がいる場合、20歳に達するまでの年数につき10万円が未成年者控除額となります。(端数切り上げ)。

未成年者控除=(20歳-相続開始時の年齢)×10万円

生前贈与加算分にかかる贈与税を控除

相続開始前3年以内に行われた贈与については、相続財産に加えることになりますので、上記(2)で生前贈与加算がありますが、その分贈与税を生前に払っている場合には、算出された相続税額から相続開始前3年以内に納付した贈与税も差し引くことができます。

相次相続控除

被相続人が、相続開始前10年以内の以前の相続等によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続等によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除します。

 

特例を適用した結果、無税になる場合

下記等の特例を利用する場合は、相続税の申告を行う必要があります。
申告を行えば税金の大幅な減額ができたにもかかわらず、申告を行っていなかったことで、特例が使えなくなる場合があるので注意が必要です。

配偶者の税額軽減

相続税を計算するとき、配偶者には「配偶者に対する相続税額の軽減」という特例があります。配偶者の相続分が法定相続分(または1億6,000万円のどちらか多い方の金額)以下である場合には、配偶者に相続税はかかりません。

配偶者の税額軽減額
=相続税の総額×(1)と(2)の少ない方の額÷全員の課税価格の合計額
  1. (1)課税価格のうち配偶者の法定相続分(1億6,000万円に満たないときは1億6,000万円)
  2. (2)配偶者の相続する課税価格

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、被相続人や生計を一にする相続人の居住用の宅地や事業用の宅地について、一定の要件を満たした場合にその宅地の評価額を限度面積まで最大80%減額することができるというものです。
この特例の適用を受けるための要件は、相続前の用途と相続後の取得者及び利用状況について設けられ、両方を満たした場合に適用があります。宅地をたくさん所有しているような場合には、どの宅地について適用を受けるかということによって減額金額が大きく変わることもあります。「相続発生時に小規模宅地等の特例が適用できるか」の条件を生前に確認しておくことも大切です。

土地の評価方法を検討することにより、無税になる場合

周囲の環境等を考慮して土地等の評価額を下げることが妥当であることを提示することにより、納税額そのものを減らす方法です。

傾斜のある土地、がけ地、騒音・悪臭等周囲の住環境が悪い、建物の建築が難しいと見込まれる土地、墓地に隣接している、高圧線が通っている等々、様々な要因により評価の見直し、評価減の可能性もあります。

 

生前対策により無税になる(又は可能な限り無税に近づける)場合

全資産負債を大まかに把握する作業の中で、対応できることは様々にあるでしょう。具体例として、小規模宅地等の特例を利用できるような状態を確保検討しておく、賃貸物件の建築や購入を検討する、生前贈与(暦年贈与・夫婦間における居住用財産の贈与・教育資金と結婚子育て資金の一括贈与、親からの住宅資金援助等の贈与の非課税制度等)を上手に利用して相続税のかかる財産を減らしていく、等あります。「相続時精算課税制度」を利用することが有効な場合もあるでしょう。
他に、留意しておきたいことの一つは、先に述べました配偶者の税額軽減についてです。後に、配偶者も死亡してしまった際(2次相続)には、今度は配偶者の税額軽減もなく、法定相続人も1次相続時より1名減った状態で、かつ配偶者の昔からの固有財産も税額計算に加味されるため、税負担が次の世代にのしかかってくる恐れがあります。1次相続での分割の際には、次の相続も視野に入れて財産を相続することをお勧めいたします。

 

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