生命保険金に相続税はかかる?計算方法や相続対策について解説

1.その生命保険にはどんな税金(何税)がかかる?

生命保険金を受け取るときに気になることのひとつに、どのような税金がかかるのかということが挙げられます。実は生命保険によって受け取ることになる保険金には、税金が発生するケースと発生しないケースが存在するので、ひとくくりにはできません。また、何税が発生するのかという点についても、場合によって異なってきます。したがって、生命保険金を受け取る場合や、受け取ることになりそうな場合には、税金についてしっかりと考えることが必要です。

まずは、生命保険金を受け取ったときの課税関係について、どの税金がかかるかを実際に判断する際の注意点について見ていきましょう。ポイントは、本当は誰が保険料を負担していたのかというところにあります。順番に解説します。

 

1-1. 生命保険金を受け取ったときの課税関係

最初に確認するのは、生命保険金を受け取ったときの課税関係です。生命保険によって受け取ることになるお金に発生する可能性のある税金は、3種類です。発生するのがどのような税金かというと、以下のようになります。

  • 相続税
  • 所得税
  • 贈与税

気になるのは、どの税金が自分のケースで課税されるのかだと思います。課税される税金を判断するためには、契約者や被保険者、生命保険金の受取人といった三者の関係が重要です。また、実際の支払い事情によっても変わってきます。

そもそも保険金として受け取るお金には、いろいろな種類があります。種類によってかかる税金が違うので、確認しておきましょう。

税金がかかるのは、以下のような保険金の場合です。

  • 死亡保険金
  • 満期保険金
  • 解約払戻金
  • 個人年金保険

死亡保険金というのは、被保険者が亡くなったときに受け取ることになる保険金です。死亡保険金には、相続税や贈与税が発生します。

満期保険金というのは、保険が満期となったものの被保険者が亡くなっていないときに受け取ることになる保険金です。満期保険金には、所得税や贈与税が発生します。

解約払戻金というのは、契約していた保険を途中で解約したときに受け取ることになるお金です。解約しただけとはいえ、所得税が発生します。

個人年金保険というのは、個人年金を支払ってもらうときのお金を指します。個人年金保険には、所得税や贈与税が発生します。

一方で、税金がかからないのは、以下のようなお金の場合です。

  • 医療保険
  • がん保険
  • 介護保険
  • 高度障害保険金
  • リビングニーズ

医療保険の、入院した際に受け取ることになる入院給付金や手術給付金などには税金が発生しません。

また、がん保険や介護保険で受け取ることになる、がん診断金や入院・通院費用、介護一時金、介護年金などにも税金が発生しません。

高度障害保険金は病気や怪我のような事情で重い障害状態となったときに支払われるもので、リビングニーズは余命半年であると医師に宣告された際に死亡保障から支払われるものです。これらのいずれも、税金は発生しません。

以上のように、さまざまなパターンがあり、パターンによって税金が発生するかどうかや、どの税金が発生するのかが変わってきます。まずはご自身や身内が関係するケースについて、いろいろ考えてみてください。

1-2. どの税金がかかるかを実際に判断する際の注意点
~本当は誰が保険料を負担していたか~

次に、どの税金がかかるかを実際に判断する際の注意点について見ていきます。先ほどもお伝えしましたが、本当は誰が保険料を負担していたのかどうかがポイントとなります。


被保険者と、保険料の負担者と、保険金を受け取る人のそれぞれについて考えることで、どの税金が発生するのかがわかります。それらの関係性を表にすると、以下の通りです。

被保険者  保険料の負担者
(契約者)
保険金受取人 税金の種類
A A B 相続税
A B B 所得税
A B C 贈与税

まずは、(契約者の)遺族が保険金を受け取るケースについて考えてみましょう。保険料を負担していた契約者と被保険者が同じ人であれば、受取人に相続税がかかります。たとえば、夫が自分自身が亡くなったときを想定して自分に死亡保障をかけて保険に加入しており、保険金受取人を配偶者である妻にしていたケースです。このようなケースでは、保険料を負担していた契約者と被保険者が同じなので、受取人である妻に相続税が発生します。ただし、生命保険の相続税については、「500万円×法定相続人の人数」という非課税枠が存在する点は押さえておきたいポイントです。

次に、契約者が自分で保険金を受け取るケースについて考えてみましょう。保険料を負担していた契約者と保険金の受取人が同じ人で、被保険者は別の人であれば、受取人に所得税が発生します。たとえば、夫が亡くなったときを想定して死亡保障を妻がかけて、受取人を妻にしているケースです。このようなときには保険金は妻の所得だとみなされます。解約払戻金のようなケースも同じで、所得税が発生するので注意しておきましょう。ちなみに、このような場合の所得税は、一時所得です。一時所得というのは、営利を目的とする継続した行為から発生した所得以外の所得のなかで、仕事の対価としての性質や資産の譲渡によって生まれる対価としての性質をもたない一時の所得です。

そして、契約者と被保険者、受取人がすべて異なるケースについて考えてみましょう。死亡保険金で保険料を負担する契約者、被保険者、保険金の受取人が全員別である場合には、保険金の受取人に贈与税が発生します。贈与税は1月1日から12月31日までに贈与された額に課税されますが、110万円の基礎控除があり、基礎控除を差し引いた金額に対して贈与税率をかけます。

贈与税の税率は次の表の通りです。

基礎控除を差し引いた課税価格 税 率 控除額
200万円 以下 10%
300万円 以下 15% 10万円
400万円 以下 20% 25万円
600万円 以下 30% 65万円
1,000万円 以下 40% 125万円
1,500万円 以下 45% 175万円
3,000万円 以下 50% 250万円
3,000万円 超 55% 400万円

ちなみに、第三者が保険金を受け取るケースについてもう少し考えておきます。生命保険金を受け取ることのできる範囲は決められていますが、保険会社によって細かなルールは異なります。同性婚のカップルや事実婚のカップルのような入籍していない場合でも受取人になれることはゼロではありません。そういった第三者が保険金を受け取れた場合でも贈与税が発生します。

 

2. 各税金の計算方法(法定相続人が子2名で、長男が800万円、次男が400万円を受け取った場合。)

法定相続人が子2名で、長男が800万円、次男が400万円を受け取った場合について、税金を計算してみましょう。今回考えるのは、所得税がかかる場合の計算方法、贈与税がかかる場合の計算方法、相続税がかかる場合の計算方法についてです。順番に確認していきます。

2-1. 所得税がかかる場合の計算方法

まずは、所得税がかかる場合の計算方法についてです。所得税が発生するケースは、保険料を負担していた契約者と保険金の受取人が同じで被保険者が別であれば、一時所得となって受取人に所得税が発生します。

一時所得を計算する際には、課税所得金額を知る必要があります。計算式は「(一時所得の金額-経費-特別控除額)×1/2」です。課税所得金額は、他の所得と合算して、総所得金額にしてから所得税率を掛けます。

保険金の課税所得金額を計算する際には、支払った保険料は差し引いて良く、特別控除50万円も差し引けるのがポイントとなります。したがって、長男の所得税を計算する場合、支払った保険料が200万円だとすれば、「(800万円-200万円-50万円)×1/2=275万円」が課税所得金額です。仮に他に所得がないという場合には、275万円の所得税率は10%で控除額が97,500円なので、「275万円×10%-97,500円=177,500円」が所得税額となります。

2-2. 贈与税がかかる場合の計算方法

次に、贈与税がかかる場合の計算方法についてです。贈与税の課税対象金額は「(受け取った保険金額+1年間で他に贈与された金額)-基礎控除額の110万円」で計算できます。800万円受け取った長男の贈与税を計算する場合で、他に500万円贈与されている場合には、「800万円+500万円?110万円=1,190万円」が課税対象金額です。

1,190万円だと一般税率が45%で控除額が175万円、特別税率が40%で控除額が190万円となります。特別税率というのは、直系尊属からその年の1月1日に18歳以上の人への贈与財産について適用される税率です。仮に特別税率で計算するのであれば、「1,190万円×40%-190万円=286万円」となります。

2-3. 相続税がかかる場合の計算方法

最後に、相続税がかかる場合の計算方法についてです。今回の例だと、保険料の負担をしていた子どもが遺族となり保険金を受け取るケースについて考えます。生命保険金の相続税額を計算する際には「(保険金額-生命保険金の非課税枠)×税率」が計算式です。非課税枠は先述したように、「500万円×法定相続人の人数」で計算できます。法定相続人が2人なら、1,000万円が非課税枠です。

今回の例では、長男が800万円、次男が400万円の合計1,200万円を受け取った場合について考えます。もしも生命保険金以外の相続財産が1,000万円だとすると、課税対象の金額は1,200万円です。そして相続税には基礎控除があるので、課税対象の金額から基礎控除を差し引きます。基礎控除は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で計算でき、今回であれば「3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円」です。課税対象の金額が基礎控除額以下なので、今回は相続税が発生しません。

相続税が発生する場合には、基礎控除を差し引いたあとの金額を法定相続分通りに相続したと仮に決めて、それぞれの法定相続人の相続税の税率を使って計算します。それらを合算して、実際に相続した割合に対応するように相続税を分配します。

 

3. 相続(相続税)で生命保険金を受け取ることのメリット

相続(相続税)で生命保険金を受け取ることには、いくつかのメリットがあります。したがって、相続対策として生命保険に加入するケースも少なくありません。どのようなメリットがあるのかというと、以下の通りです。

  • 死亡保険金には非課税枠がある
  • 預貯金と異なり凍結される恐れがない
  • 受取人固有の財産になる
  • 銀行に比べて利息が良い

どれも気になるメリットばかりではないでしょうか。それぞれのメリットについて、ひとつずつ解説していきます。

3-1. 死亡保険金には非課税枠がある

1つ目のメリットとしては、死亡保険金には非課税枠があるという点です。

すでにお伝えした通り、相続税を計算するときには非課税枠が発生します。法定相続人1人につき500万円です。場合によっては相続税をなくすることもできるので、事前に計算してみると良いでしょう。

3-2. 預貯金と異なり凍結される恐れがない

2つ目のメリットとしては、預貯金と異なり凍結される恐れがないという点です。

被相続人の預金口座は、凍結されてしまいます。凍結されると、遺産分割協議が終了するまではお金を動かすことができません。「預金はあるのにお金を下ろせない」という突然の事態に困る方は一定数いますので、注意しなければならないでしょう。

一方で生命保険は申請すればお金を受け取ることができるので、さまざまな用途にスムーズにお金を使うことができます。

3-3. 受取人固有の財産になる

3つ目のメリットとしては、受取人固有の財産になるという点です。

保険金は受取人固有の財産だと考えられており、事前に指定されていれば遺産分割協議のような話し合いをしなくとも保険金を受け取ることができます。原則として、遺留分侵害額請求の対象にならず、安心して規定通りの金額を受け取ることができるのです。

被相続人としても自分が受け渡したい人に受け渡せるので、トラブル防止になります。

3-4. 銀行に比べて利息が良い

4つ目のメリットとしては、銀行に比べて利息が良いという点です。すべての生命保険でそうだとは言えませんが、加入する保険によっては資産運用可能なものもあります。満期を迎えてから受け取りまでも保険金を据え置いておくことで、資産運用できるかもしれません。加入している保険が貯蓄性の高いものであるかどうか、確認してみるのも良いでしょう。

 

4. まとめ

生命保険金は、ケースによってさまざまな税金がかかります。本当は誰が保険料を負担していたのかどうかがポイントとなるので、まずはそこから確認してみてください。

また、相続(相続税)で生命保険金を受け取ることについては、いろいろなメリットがあります。もしも加入を検討しているのであれば、どのようなメリットがあるのかをまずは確認してみましょう。

もしも疑問点が残るようなら、早めに専門家に相談することをオススメします。
 

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