相続税における事業用資産と事業主貸

事業主貸

事業主貸とは簡単にいうと、個人事業主が事業に無関係な支出がある時に使用する勘定科目です。ここでは事業主貸について説明しています。

 

事業主貸の具体的な例

事業主貸の具体的な事例は以下の通りです。

 

・事業用の口座から生活費のためのお金をおろした
・事業用のクレジットカードで個人の生活用品を買った
・事業用の口座から、個人の国民年金や健康保険料を支払った
・事業用の口座から、個人の税金(所得税・住民税など)を支払った
・事務所を自宅と兼用している場合に事業用口座から家賃や水道光熱費を支払った

基本的には個人事業主として経費にできないプライベート用の支出は事業主貸です。


また、上記には「事業用の口座」や「事業用のクレジットカード」という記載をしていますが、事業用とプライベート用に分けていない場合もあります。そうすると、当然口座明細やクレジットカード明細の中にプライベート用のものが多くなり、事業主貸が増えることになります。できるだけ、口座やクレジットカードは事業用とプライベート用に分けしましょう。

 

事業主貸は経費にはならない

前述にあげた事業主貸の具体例で支出したものは、すべて個人事業における経費にはなりません。個人事業主には、事業主自身の「給与」という勘定科目がありません。事業主貸という勘定科目は、プライベートの消費と、事業の経費を明確に分けるためにあります。ただし、個人事業主が雇った従業員に対する給与は経費とすることができます。
また、個人事業主の配偶者など青色事業専従者給与の届出を出した家族・親族で、条件を満たす場合のみ、給与を経費にすることができます。

 

個人の所得税・住民税などの税金の取扱い

個人事業主の経費にできない税金は以下のとおりです。以下の支出を事業用口座から支払った場合はすべて事業主貸です。


<個人事業主の経費にできない税金>

・プライベート用の自動車税・自動車取得税・自動車重量税
・所得税
・加算税・延滞税
・住民税
・相続税
・贈与税
・交通違反等の罰金・反則金



<経費にできる税金>(勘定科目は租税公課)

事業用の自動車税・自動車取得税・自動車重量税
印紙税
事業税
事業所税
事業用資産に対する固定資産税
事業用資産に対する不動産取得税
事業用資産に対する登録免許税
課税事業者が納付する消費税

 

租税公課として経費にはできないが控除対象となる税金もある

国民健康保険や国民年金も事業主個人にかかる税金なので、租税公課として経費処理はできません。これらを帳簿づけする場合も同じように「事業主貸」で仕訳しておきます。ただ、国民健康保険や国民年金は所得税の社会保険料控除の対象になります。確定申告で提出する書類に社会保険料控除の欄があるので、そこに1年間で支払う総額を記入することになります。

収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額


この各種控除の部分に、社会保険料控除も入るわけです。
課税所得はこのように算出されるので、控除額が多いほど節税になります。

 

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