株式を相続する場合に必要な手続きや評価額について、基礎知識をまとめて解説

相続財産と言えば、銀行預金や不動産が真っ先に思い浮かびますが、株式もそのひとつです。ただ、株式の相続手続きは、管理をしている証券会社や発行会社とのやり取りも必要で、簡単ではありません。相続人に株式投資などの経験がない場合にはなおさらです。

しかし、相続税は申告・納税の期限があります。スムーズに相続手続きを進めるためにも、相続財産としての株式の評価方法、名義変更手続きなどについて、知っておきましょう。

 

1.株式を相続するときの流れ

株式の相続は、銀行預金や不動産の相続とはまた違う手続きが必要です。まずは株式を相続するときの流れを、相続に関する手続き全体と合わせて理解しておきましょう。

1-1.遺言書の有無、相続財産の調査、相続人の調査を行う

被相続人が死亡して相続が開始したら、遺言書があるかどうかの確認をし、相続財産についての調査も行います。また、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せ、相続人を確定させましょう。

株式の相続財産がどれくらいあるかの調査は、上場株式と非上場株式で、手続きなどが変わってきます。

被相続人が保有していた上場株式については、証券会社に被相続人が死亡したことを伝えることで、保有していた株式等の残高証明書と相続手続きに必要な書類を発行してもらうことができます。

どの証券会社で取引していたかは、定期的に送られてくる取引残高報告書などの郵送物等で確認することができます。証券会社がわからない場合は、証券保管振替機構に問い合わせをすれば、被相続人が取引していた証券会社を知ることができます。

なお、投資信託については、銀行経由で購入している場合もあります。

非上場株式の場合は、証券会社経由で取引するものではないため、被相続人の記録や管理しているものから確認するしかありません。株式を保有しているが、その詳細がわからない場合は、その会社に問い合わせて確認して、持株数などを調査しましょう。

1-2.準確定申告を行う

被相続人に収入があった場合、相続手続きのひとつとして、相続人が被相続人に代わって準確定申告をしなければなりません。準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内と定められています。

準確定申告で申告する「収入」には、株式等の配当金も含まれます。

配当金を生前に受け取っている場合は、「被相続人の収入」として準確定申告の対象となります。

被相続人の死亡する前に配当基準日が到来しているがまだ配当金を受け取っていない場合、その権利が相続財産に含められるため、準確定申告が必要な収入にはなりません。

1-3.遺産分割協議を行う

遺言書がなかった場合、株式を含めた相続財産と相続人が確定したら、遺産分割協議を行います。株式については、誰がどの株式をどれだけ相続するかを協議します。

遺産分割方法を相続人全員で合意したら、遺産分割協議書を作成します。

1-4.株式の名義を変更する

遺産の分割方法が確定したら、株式の名義変更ができるようになります。

上場株式の場合は、証券会社で名義変更手続きを行い、株式を相続する相続人の証券口座に株式が移されます。相続人が証券口座を持っていない場合は、口座開設から始めなければなりません。

名義変更に必要な書類には、下記のようなものが挙げられます。

  • 名義変更依頼書
  • 被相続人・相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書

※必要書類は証券会社によって異なりますので、詳細は各証券会社にお問い合わせください。

 

1-5.相続手続き、相続税の申告・納税

相続税の申告は、相続開始の翌日から10か月以内にしなければなりません。

納付期限も同じで、原則として現金による一括納付となっています。

申告と納税までが10か月と聞くと長いように感じますが、相続財産の調査や株式の名義変更など、すべきことはたくさんあります。また、ひとつひとつの手続きに時間がかかることもあるため、早い段階から計画的に進めることが大切です。

 

2.株式の評価方法

株式は日々、価値が変わるものです。そのため、相続が発生したときの時価を確認する作業が必要です。

評価方法は上場株式か非上場株式かで異なり、次のようになっています。

2-1.上場株式の場合

上場株式は、下記の4つの価格から最も低い価格で評価されます。

  • 被相続人が死亡した日の終値
  • 被相続人が死亡した月の毎日の終値の平均額
  • 被相続人が死亡した前月の毎日の終値の平均額
  • 被相続人が死亡した前々月の毎日の終値の平均額

原則としては、被相続人が死亡した日の終値ですが、相場の急変等で評価額が一時的に非常に高くなってしまった場合などを想定して、このような制度となっています。

2-2.非上場株式の場合

非上場株式は、証券取引所で時価が決まることがないため、特殊な方法で株価を算定します。

詳細はここでは割愛しますが、税金に関する専門知識が必要なため、税理士などに確認することをおすすめします。

 

3.株式を売却するには

株式を相続しても、保有し続けるのではなく売却したいということもあるでしょう。

相続人のひとりが自分の相続した株式を売却したい場合と、相続人全員が換金して金銭で分割したい場合とで、手続きが少し変わります。また、非上場株式を売却したい場合は、手続きが複雑になる可能性があります。

3-1.相続人が個別で売却する場合

相続人が、自分が相続した株式を個別に売却したい場合は、まず通常の手続きで株式を相続し、それを売却します。

証券口座を開設したあと、遺産分割協議書などの必要書類を提出し、その内容に従って、被相続人の株式がそれぞれの証券口座へと移管されます。この手続き完了後は、相続人個人名義の株式となり、自由に売却できるようになります。

3-2.相続財産の株式を一括で売却する場合

株式を相続しても全員がそれを売却してしまうのであれば、一括で売却して、現金を分割することも可能です。ただ、被相続人名義になっている株式をそのまま売却することはできません。

相続人から代表者を1人決め、他の相続人は代表相続人に株式売却を委任する委任状を提出します。その後、代表相続人が証券口座を開設し、移管手続きを済ませ、株式を売却します。この現金を、各相続人で協議して分割することができます。

3-3.非上場株式を売却する場合

非上場株式は、証券取引所で売買することができません。売却するためには、自分で買い手を見つけなければなりません。

しかし、非上場株式は、安定した経営体制を作るために、「譲渡制限付き株式」になっていて、自由に売却できないことがほとんどです。なお、この「譲渡制限」は相続には関係ありませんので、どの相続人が相続しても構いません。

非上場株式を売却したい場合は、株式を発行している会社に問い合わせして、譲渡制限があるかなどを確認しましょう。場合によっては、発行会社が買い取ってくれることもあるかもしれません。しかし、買取義務があるわけではないため、相続したものの誰にも売却できないこともあります。

一方、発行会社が、相続によって株式の保有者が変わっていくことなどを危惧して、定款に「相続などで株式を取得した者に対して、株式の売渡請求をすることができる」といった売渡請求についての定めがなされていることがあります。

この場合は、相続人がその非上場株式を保有したいと思っていたとしても、会社に売渡ししなければなりません。

 

4.株式を相続する場合の注意点

最後に、株式の相続に関する注意点をご紹介します。

4-1.あとになって被相続人が持っていた株式が見つかった場合

相続手続きを行った後に、被相続人名義の株券が見つかったりするケースもあります。この場合は、相続税の時効が関係します。

相続税の時効は「申告期限から5年(※)」となっています。そのため、申告期限から5年以上経過しているときに見つかった場合は、修正申告の必要はありません。

5年経過以前に株券が見つかったりした場合は、相続税の修正申告が必要です。税務調査で指摘を受けて修正申告した場合は過少申告加算税の対象となります。

※虚偽申告や財産隠しといった不正行為があった場合の時効は7年

なお、現在は上場企業の株式は電子化されており、株券を目にすることはほとんどありません。しかし、電子化以前に取得した株式で、電子化の手続きが行われなかった株式は、株券のままでどこかに眠っていることもあるでしょう。

電子化手続きがなされなかった株券は、証券会社では手続きができず、管理している信託銀行で手続きする必要があります。発行会社に問い合わせて信託銀行を確認し、連絡してください。

 

4-2.あとになって見つかった株式に未受領配当金があった場合

株式と一緒に、配当金領収証が見つかることもあります。「領収証」という名前になっていますが、これは配当金を受け取るために必要な書面です。配当金領収証が見つかったということは、まだ受け取っていない配当金があるかもしれません。

しかし、配当金の受領には、会社の定款で時効が定められていることが一般的です。3年や5年と定めているケースが多いのですが、その受領期限を過ぎているものについては、配当金を請求することはできません。

4-3.相続後に売却した場合、譲渡所得税が発生する

株式を売却した場合は、売却益に対して所得税・住民税がかかります。株式の売却益にかかる所得税・住民税は一律で20.315%となっています。

株式の売却益は、「売却金額-売却手数料-取得費」で求められますが、その取得費は「被相続人が取得した金額」です。相続人が取得したときの評価額ではありませんので、注意してください。

なお、相続税の申告期限から3年以内に売却した場合には、「売却した株式に対する相続税額」を取得費として加算できる特例があります。

もし、被相続人が取得した金額がわからない場合は、「売却代金の5%」を取得費とすることができます。しかし、この場合は「売却益=売却代金の95%」となるため、非常に高額の所得税がかかります。

4-4.経営している会社の株式の相続については、早めの対策を

株式の相続には、被相続人や親族が経営している会社の株式も含まれます。オーナー企業は、経営体制を安定させるためにも、誰が株式を保有しているかが非常に重要です。

堅実な経営ができている場合は、オーナー企業の株式の評価額が非常に高額になり、均等に遺産分割すると、親族に株式が分散してしまいます。親族間の関係性が経営体制に悪影響を及ぼすリスクも生じかねません。

そういったことが起きないよう、オーナー企業の経営者であれば、早い時期から相続税対策をしておくことが重要です。

 

5.まとめ

株式は、誰が保有しているかが管理されているものであるため、相続にあたっては名義変更の手続きも合わせて行わなければなりません。その際には、証券会社や発行会社とのやり取りが必要になるので、相続税の申告期限に間に合うように、早めに手続きを進めていくようにしましょう。

遺産分割にあたっては、株式の評価額を確定させなければなりません。上場株式の場合は簡単ですが、非上場株式は基準となる株価がありません。複雑な計算をして算定するため、専門家の助けを借りて評価額を算定することをおすすめします。

銀行預金や不動産は、どれだけ保有しているかが比較的確認しやすい財産です。しかし、株式のなかでも、電子化されていない上場株式や非上場株式は、保有しているかどうかを確認するだけでも大変です。後で見つかった場合には修正申告が必要になることもありますので、被相続人の生前のうちに、株式の保有状況について確認できていることが望ましいと言えます。

 

このように、株式を保有している場合は、保有していない場合よりも相続手続きが複雑になるため、注意が必要です。相続財産に株式(特に非上場株式)が含まれていた場合は、税理士などの専門家に、できるだけ早く相談することをおすすめします。また、株式を保有している場合は、生前のうちに相続について税理士などの専門家に相談しておくことで、相続を円滑に進められるようになるでしょう。

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