相続後に相続人の方が所得税の確定申告が必要となる2つの場合

相続税と所得税の違いについてご存知でしょうか。

相続税は亡くなった方から相続または遺贈によって取得した「財産」にかかるものです。

一方、所得税は収入からその収入を得るための費用を差し引いた「所得」を課税の対象とするものです。

財産を相続した場合に所得税が課税されると心配されている方がいるか思います。それは相続財産の中に現金や預金がありそれを取得するとそれが収入になると誤解されているからです。

相続財産に課税されるのは相続税で、所得税がかかることはありません。 また、相続税は、相続財産が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)以下であれば課税されません。

しかし、亡くなった方に所得税の申告義務があるときは、相続人が亡くなった方にかわって確定申告する必要があります。(準確定申告)

準確定申告の手続きは、通常とは異なる部分があったり、相続した財産を売却する場合には税額が軽減される特例があったりと複雑ですので、こちらで詳しく説明していきます。

1.相続後に所得税の確定申告が必要な2つの場合

冒頭で説明した通り、相続で財産を取得した場合は相続税の課税対象となりますので、所得税の申告は原則必要ありません。

しかし、相続した後に相続人が所得税の確定申告をする必要がある場合があります。

確定申告が必要となるのは、次の2つ場合に区分されますのでそれぞれ説明していきます。

・亡くなった方の確定申告をする場合

・相続人の方ご自身の確定申告をする場合

2.亡くなった方の確定申告をする場合

所得税は1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年の3月15日までに確定申告と納税をします。

しかし、年の途中で死亡した人の場合は、1月1日から亡くなった日までの所得について所得税の申告が必要なときは、相続人が亡くなった方に代わって確定申告と納税をすることになります。これを準確定申告といいます。

2-1.準確定申告の必要な場合

相続人が亡くなった方の準確定申告をする必要があるのは、亡くなった方が次のいずれかに該当する場合です。

・事業所得や不動産所得がある場合

・給与収入が2,000万円を超えた場合

・2か所以上から給与収入がある場合

・公的年金等の収入金額が400万円を超える場合

・株式や不動産を売却した場合

なお、亡くなった方が年金所得者の場合、公的年金等の収入金額が400万円以下で公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合には、準確定申告をする必要はありません。

また、亡くなった方が給与や年金収入のみで源泉徴収されている場合、準確定申告をすると所得税が還付されることがあります。

2-2.準確定申告の提出期限は4か月以内

準確定申告の提出期限は、相続人の方が亡くなった方の死亡を知った日の翌日から4か月以内にすることになっています。

また、亡くなった方が1月1日から3月15日までに死亡し、前年の確定申告をしていない場合も、相続人の方が亡くなった方の死亡を知った日の翌日から4か月以内に前年分の準確定申告をする必要があります。

準確定申告をするまで4か月しかありませんので、亡くなった方の過去の確定申告書の控等を確認して早期に必要な書類等の準備をしましょう。

なお、提出期限までに準確定申告を提出しなかった場合には、無申告加算税や延滞税などのペナルティーが課されますので注意してください

2-3.所得控除は死亡日が基準

準確定申告では、通常の確定申告と同様に所得控除を適用して計算しますが、次のように死亡した日を基準に計算や判定をします。

・医療費控除

医療費控除の対象となるのは、死亡の日までに亡くなった方が支払った医療費であり、死亡後に相続人が支払ったものを含めることはできません。

・社会保険料控除など

社会保険料、生命保険料、地震保険料控除等の対象となるのは、死亡の日までに亡くなった方が支払った保険料等の額です。

・配偶者控除、扶養控除に該当するかの判断は、死亡の日の現況により行う

・配偶者控除や扶養控除等に該当するかの判断は、親族関係や生計を一にしているかについて死亡の日の現況により行います。

また、配偶者や扶養親族の所得については、その年の1月1日から12月31日までの所得金額を死亡日の現況で見積もって判定します。

2-4.準確定申告の提出先と申告書の記載方法

準確定申告書は亡くなった方の死亡時の納税地(原則:住所地)を管轄する税務署に提出します。

通常の確定申告と同じ用紙で申告を行いますが、表題部分に「準確定申告」と記載し、亡くなった方の死亡年月日を記入します。

申告書の氏名欄等には、亡くなった方の氏名と相続人の氏名を上下に連署します。

また、相続人が二名以上いる場合は、「死亡した者の確定申告書付表」に相続人全員の住所氏名を記載・押印して準確定申告書とともに提出します。

(準確定申告書の記載例)

準確定申告書の記載例

(死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表の記載例)

死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表の記載例

3.相続人の方がご自身の確定申告をする場合

相続後に相続人の方がご自身の確定申告をする必要があるのは次の場合です。

① 死亡保険金を受け取った場合

② 賃貸用の不動産を相続した場合

③ 相続した財産を売却した場合

3-1.死亡保険金を受け取った場合

相続に関連して相続人方が死亡保険金を受け取った場合、保険の契約の内容によって、相続人が所得税の申告をする必要があります。

3-1-1.所得税が課税される場合

相続人が保険料を負担していた場合、所得税が課税されます。

例えば、被保険者が亡くなった父で、相続人である子が保険料を負担し、死亡保険金を受け取った場合は、子が所得税の申告をする必要があります。

なお、保険料の負担者と被保険者が父で、子が死亡保険金を受け取った場合には、相続税の対象となります。

死亡生命保険金の課税される税金を表にすると次のようになります。

被保険人 保険料の負担者 保険金受取人 税金の種類
所得税
相続税

3-1-2.一時所得か雑所得になる

死亡保険金は、受取方法によって一所得か雑所得として課税されます。

・一時所得になる場合

死亡保険金を一時金で受領した場合には、一時所得として課税されます。

一時所得の金額は、受け取った死亡保険金の総額から既に払い込んだ保険料又は掛金の額を差し引き、更に一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額を更に1/2にした金額となります。

一時所得の課税の対象となる金額をもとめる計算式は、以下の通りです。

( 死亡保険金 + 配当金 - 既払込保険料 - 50万円 )×1/2 = 課税対象となる金額

(計算例)

死亡保険金が1,000万円で、払い込んでいる保険料が150万円の場合一時所得の課税対象となる金額次のようになります。

(1,000万円―150万円―50万円)× 1/2 = 400万円(課税対象となる金額)

・雑所得になる場合

死亡保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。

雑所得の金額はその年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料又は掛金の額を差し引いて計算します。

なお、年金を受け取る際には、所得税が源泉徴収されます。

3-2.賃貸用の不動産を相続した場合

アパートや駐車場など賃貸料収入のある物件を相続した場合、その賃貸料収入は相続人のものとなりますので相続人が確定申告をする必要があります。

例えば5月31日に賃貸アパートを所有していた父親が亡くなった場合、1月1日から5月31日までの賃貸料に関する不動産所得は、父親に代わって相続人が準確定申告をしますが、6月1日以降12月31日までの不動産所得はその賃貸アパートを相続した相続人が翌年3月15日までに確定申告することになります。

なお、相続人が複数いる場合遺産分割協議などをして誰が賃貸物件を相続するか決めることになりますが、遺産分割が決まるまではそれぞれの相続人が法定相続分により賃貸料収入を得たことになりますので、相続人全員が不動産所得の確定申告をする必要があります。

また、亡くなった方が不動産所得について青色申告をしていて、それを引き継いだ相続人も同様に青色申告をする場合は、税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

青色申告承認申請書の提出期限は亡くなった方の死亡の日に応じて次のようになっていますので注意が必要です。

・死亡の日が1月1日~8月31日の場合・・・死亡の日から4か月以内

・死亡の日が9月1日~10月31日の場合・・・12月31日まで

・死亡の日が11月1日~12月31日の場合・・・翌年の2月15日まで

3-3.相続した財産を売却した場合

相続した財産を売却して譲渡益が発生すると所得税の確定申告をする必要があります。

譲渡所得の計算方法は相続財産以外を売却した場合と同様に次のように計算しますが、相続財産の取得費や取得の時期に関する留意点や譲渡所得の金額を軽減する特例等があります。

譲渡所得の金額 = 収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) - 特別控除額

3-3-1.相続財産の取得費

譲渡所得の計算上、取得費は所有者が購入などをした際の支出した金額となりますが、相続した財産の取得費は、もともと所有していた亡くなった方が取得した際に支出した金額を基に計算します。

また、相続した土地や建物が先祖からのものであるとか、 購入した時期が古く売買契約書などが紛失して取得費がわからない場合には、売った金額の5%相当額を取得費の金額をとすることができます。

3-3-2.相続財産の取得の日

通常、財産の取得時期は所有者が購入などをした日ですが、相続で財産を取得した場合は、亡くなった方が取得した時期を引き継ぐことになっています。

したがって保有期間は、亡くなった方が取得してからの計算になります。

土地や建物を売った場合の譲渡所得は、次の表のとおり所有期間に応じて長期譲渡所得と短期譲渡所得の二つに区分して計算されますが、保有期間については亡くなった方の所有期間も含めて判定することができます。

譲渡所得の区分 保有期間 所得税率 住民税
長期 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超える場合 15.315% 5%
短期 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下の場合 30.63% 9%

3-3-3.相続税が取得費に加算される特例

相続人が相続した土地、建物および株式などを一定の期間内に売却した場合、その相続人が納付した相続税額の一定額を取得費に加算することができる特例があり、譲渡所得の税金の軽減を受けることができます。これを取得費加算の特例といいます。

この特例を利用できるのは、実際に相続税が課税された相続人が、相続開始を知った日の翌日からの3年10か月以内に譲渡した場合に限られます。

取得費に加算される相続税は次の算式で計算した金額となります。

相続 所得税 取得費加算

長男は亡くなった父から相続税評価3,000万円の土地と3,000万円の預金を相続し、相続税を800万円納付しました。その後、相続した土地を売却した場合、 取得費加算の計算は次のようになります。

相続 所得税 取得費加算 例

上記の取得費加算によって譲渡所得に課税される所得税及び住民税について次の金額が減額されます。

長期譲渡の場合:400万円 × 20.315% =  812,600円

短期譲渡の場合:400万円 × 39.63 % =  1,225,200円

3-3-4.亡くなった方の居住用財産を売却した場合の特例

亡くなった方の居住用家屋またはその敷地等を相続し売却した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。

この特例を受けるには次の要件にあてはまるはまる場合です。

譲渡する家屋の要件

・相続の開始の直前に亡くなった方の居住用に使用していた家屋であること

・昭和56年5月31日以前に建築されたこと

・区分所有建物登記がされている建物でないこと

・相続の開始の直前において亡くなった方以外に居住をしていた人がいなかったこと

・相続の時から譲渡の時まで事業、貸付又は居住の用に供されていたことがないこと

譲渡に関する要件

・相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること

・相続人が耐震リフォームをして家屋や家屋とともに敷地を売却すること、または、相続人が家屋を取壊して敷地を売却すること

・譲渡対価の額の合計額が1億円以下(共有で譲渡する場合には合計額が1億円以下)であること

・配偶者や生計を一にする親族などに対して売ったものでないこと

この特例を受けるためには、次の書類を添付した確定申告書を提出する必要があります。

・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】

・売却した家屋及び敷地の登記事項証明書

・売却した資産の所在地の市町村長から交付を受けた「被相続人居住家屋等確認書」

・売買契約書の写し

・耐震基準適合証明書または建築住宅性能評価書の写し(被相続人の居住用家屋を取り壊した後に敷地を売却した場合は不要です。)

4.まとめ

相続した後に相続人の方が所得税の確定申告が必要な場合について解説しきましたが、相続が発生したときは、まず初めに亡くなった方の書類などを整理し、準確定申告が必要かを確認することをおすすめします。

申告期限までに4か月しかありませんので早めに準備しておきましょう。

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