空き家を相続することになった場合にどうすべきか解説!

相続財産の中に空き家があった場合、どのような取り扱いをすればよいのかと悩まれる方がいるのではないのでしょうか。

全国的に空き家は増えており、相続の際に空き家を相続する可能性は高まっているといえます。

そして空き家を相続の際に売却する場合は特例で控除を受けることができるため、売却を考えている方はそちらの適用についても検討する必要があります。

今回は空き家と相続について、詳しく解説していきます。

 

1.空き家を相続することになった場合の対処法

空き家を相続する場合、空き家自体に資産価値があるかどうかで、すべき対処法が変わってきます。

空き家を資産として活用する場合と、資産価値のないものとして、より少ないコストで処分を目的にする場合の2つの視点があり、それぞれの視点においても選択肢が存在します。

また、相続する際には相続税がかかってきますが、空き家を所有し続ける場合は固定資産税などといった毎年支払う必要のある税金の対象となるため、ランニングコストが発生します。

税金については、空き家であっても、支払い金額を軽減できる特例も存在します。

1-1. 空き家とは

空き家は、空家等対策の推進に関する特別措置法での定義によると以下の通りです。

「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)という。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。(空家等対策の推進に関する特別措置法第二条)

空き家は現在、全国的に増加の傾向で、平成30年の総務省統計局の住宅・土地統計調査では、全国の空き家率は13.6%と過去最高の割合となりました。

又、空き家の取得原因は相続が半数以上を占めており、相続のタイミングで被相続人の居住建物が空き家となるケースが多いことが分かります。

1-2. 空き家を放置するリスク

空き家には「特定空家等」といった分類もあり、こちらも空家等対策の推進に関する特別措置法において定義づけがなされています。

「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。(空家等対策の推進に関する特別措置法第二条二項)

このように、空き家は周辺環境に影響を及ぼしたり、倒壊の危険性がある可能性があります。

それ以外にも、空き家の所有は、資産面においてもリスクとなります。

空き家を放置している場合、固定資産税の負担が増える可能性があります。住宅用地の固定資産税は、通常、住宅用地の特例措置により、算出された固定資産税の額から減額され、実際に支払う額は1/6、もしくは1/3の金額です。

しかし、前述の「特定空き家」に指定された場合、住宅用地の特例が適用できず、最大6倍の固定資産税を支払うことになるかもしれません。

空き家となった建物は既に築年数が経っている場合も多く、時間の経過とともに建物はさらに劣化していくため、資産価値の下落は避けられないことが多いです。このため、持ち続けるほど売却が困難になるという恐れがあります。

 

2.空き家に資産価値がある場合

空き家となった建物に資産価値がある場合は、空き家を資産として活用する方法があります。年数が経過すると資産価値が下落することが通常なので、早めに対応するようにしましょう。

2-1.売却する

空き家自体に資産価値がある場合、売却を検討しましょう。

売却した金額は、所得税の対象となりますが、売買後は固定資産税などのランニングコストもかからず、建物の管理の必要がないため、資産としての運用などを考えていない場合は早めに売却した方が将来のリスクを減らすことができます。

また、空き家を売却する場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下、「空き家控除」といいます)が適用できる場合があります。

一定の適用条件を満たすことで、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができ、節税に効果的です。

特例の主な適用条件は後述の4-2をご参照ください。

(注)空き家は相続税の課税遺産総額から減額することはできません。2-4の「寄付する」をご参照ください。

2-2.貸し出す

空き家を賃貸用住居として貸し出すことも選択肢のひとつです。

賃貸として貸し出すことができれば毎月家賃収入を得ることができますが、賃貸として貸し出せる状態にするため、家屋をリフォームやハウスクリーニングする必要があり、初期費用がかかります。

また、貸主責任が発生するため、居住やインフラに関するトラブルが発生した場合は貸主として対処しなくてはなりません。

そして、貸し出した場合は、売却の項目で紹介した「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」は要件から外れてしまうため、使うことができなくなります。

2-3.住居にする

自身の居住用不動産として、相続した住居を活用することもできます。

相続した空き家の所在地によっては、売却や賃貸が難しい場合があります。しかし、自身の居住用建物、もしくはセカンドハウスとすれば、所有を続けながら、特定空き家の指定を回避して住宅用地の特例を適用させ続けることが可能です。

ただし、セカンドハウスとして利用する場合は、不動産の属する自治体の認定を受ける必要があります。自治体によって手続きや認定条件が異なるため、セカンドハウスとしての利用を考えた場合は必ず自治体に事前確認を行いましょう。なお、この場合も空き家控除は使えなくなります。

2-4.寄付をする

相続財産のうち国などに寄付した財産も相続税の非課税財産に該当します。ここでは相続財産を付記した場合の特例について概要をご説明します。

相続税の非課税財産となる特例を受けられるのは、相続財産を国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄付した場合、または特定の公益信託の信託財産とするために支出(金銭に限られます。)した場合です。

この特例を受けるための要件は次のとおりです。

  1. (1)寄付または支出した財産は相続や遺贈によって取得したものであること。なお相続財産とみなされる生命保険金や死亡退職金もこれに含まれます。
  2. (2)寄付または支出は、相続税の申告の期限内に行われたものであること。

(3)その公益法人の目的である事業、またはその公益信託の目的が、教育や科学の振興その他公益の増進に著しく貢献すると認められるものであること。

この特例の適用を受けるために必要な手続は次のとおりです。

  1. (1)相続税の申告期限内に申告書を提出し、その申告書に特例の適用を受けることを記載すること。
  2. (2)寄付または支出をした財産の明細書を申告書に添付すること。

(3)寄付または支出を受けた国や地方公共団体、公益法人など、または特定公益信託の受託者の証明書を申告書に添付すること。

 

3-1.相続放棄する

相続放棄は、被相続人の相続財産を相続する権利の一切を放棄することをいいます。

相続放棄をする場合、被相続人が亡くなったことを知るなど、自身が相続人になったことを知った時から3か月以内に、手続きをする必要があります。

具体的には、家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を必要書類とともに提出しなくてはならず、その後、「相続放棄申述受理通知」を受ける必要があります。

相続放棄することで相続財産全てが相続できなくなるため、相続財産の中の空き家は相続を理由にした取得ができなくなります。

ただし、相続放棄したことで、空き家について相続する者がいなくなり、空き家が国庫に帰属することになった場合、相続財産管理人が管理を開始するまでの期間などの管理義務が発生します。

相続放棄が認められてすぐに、空き家の管理などについて何にもしなくていいようになるわけではない点に注意が必要です。

3-2.解体する

一度更地にしてから、売却やその他の活用方法を考える選択肢があります。

土地のみでの売却は、土地の上に古い家がある状態での売却よりも買い手がつきやすい場合があります。しかし、解体費用は高額になってしまう可能性が高く、一般的な木造住宅であっても100万円以上が相場であるため、コストがかかる点に注意が必要です。なお、他の要件を満たせば空き家控除が使えます。

土地で保有している場合は、住宅用地の特例が適用できなくなるため、固定資産税が高くなる点にも注意しましょう。

3-3.寄付する

土地の売却が見込めない場合などに寄付を検討することも可能です。

寄付先としては、自治体・個人・法人の3パターンが考えられます。

自治体は使用する目的がなければ寄付を受け付けない場合があるので注意が必要です。ただし、一部の自治体では、一定の条件を満たすことで無償で寄付を受け付けています。空き家のある自治体の制度について事前に調べておきましょう。

また、個人・法人に寄付する場合、一定の金額を超えた場合に寄付を受けた側に贈与税が発生する場合があるため、確認が必要です。

寄付の際にも、相続時と同様、登記は必要になります。登記費用は、登記の際に必ずかかる登録免許税のほかに、登記の申請を依頼する司法書士に支払う費用も必要です。

寄付の場合でも一定の費用がかかる点は頭に入れておきましょう。

さらに、不動産を寄付した場合はみなし譲渡として寄付者に譲渡所得税がかかります。(自治体や国等へ寄付の場合は非課税)

 

4. 空き家を相続する際の注意点

空き家を相続する際の注意点として、相続放棄をする場合であっても、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けて売却する場合であっても、期限が設けられている点に注意が必要です。

また、空き家に関する特例を適用したい場合、それぞれの特例の一定の要件についても必ず確認しておきましょう。要件を満たさない場合は特例適用ができなくなる恐れがあり、固定資産税などの支払い金額が増えてしまうかもしれません。

4-1.小規模宅地の特例を適用する

「小規模宅地の特例」とは、事業要地や住宅用地に関する相続税の特例です。

相続人が相続した空き家が、被相続人が所有している段階から空き家であった場合は適用することができません。

内容としては、個人が相続や遺贈によって取得した財産のうち、相続開始の直前において、被相続人などが事業用または居住用に用いていた宅地などのうちで一定の要件を満たせば、その宅地などのうち一定の面積までの部分について、相続税の課税価格に参入すべき価額の計算上、特例の規定に合わせた割合で減額される制度です。

具体的な減額割合については、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等は、特定居住用宅地等に該当する場合、限度面積330㎡で80%の減額を受けることができます。

なお、この「特定居住用宅地等」は、認定にあたり、一定の要件があるため注意が必要であり、原則は被相続人と同居していた配偶者などの親族を対象としています。

ただし、被相続人がひとりで暮らしていたなどの一定の場合は、相続人がいわゆる「家なき子」であれば適用可能な場合があります。

家なき子には以下の主な4つの要件があります。

  • 被相続人と同居した配偶者や親族がいないこと
  • 相続人が相続開始前の3年間に本人、配偶者、3親等以内の親族、特別関係のある法人の持ち家に住んだことがないこと
  • 相続した宅地を相続開始より10か月所有していること
  • 相続開始時に現在居住している家屋について、これまで一度も所有したことがないこと

そのほか、被相続人が老人ホームや病気の治療・療養のために病院などに入院しており、被相続人の居住用建物ではあるが、亡くなる直前には居住していなかったという場合でも、一時的な空き家であったとして、小規模宅地の特例を受けることができます。

4-2.売却する際は3,000万控除の特例を適用する

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を適用することで、最大3,000万円まで、譲渡所得の特別控除を受けることができます。

不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、通常は譲渡所得税がかかります。しかし、空き家の売却において、一定の要件を満たせば、以下の税制特例が適用されるため、譲渡所得税の節税になります。

【特例適用対象の「被相続人居住用家屋」および「被相続人居住家屋の敷地等」の主な要件】

  • 対象は、相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等
  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
  • 区分所有建物登記がされている建物ではないこと。
  • 相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
  • 建物は譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。又は建物を取り壊し、譲渡すること。
  • 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用、または居住の用に供されていたことがないこと。
  • 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 売却代金が1億円以下であること。

4-3.相続土地国庫帰属法を適用する

「相続土地国庫帰属制度」は令和5年4月27日からスタートする新しい制度で、相続した土地を国が引き取る制度です。

制度内容としては、相続などによって土地の所有権などを取得した者が法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについて承認を申請し、法務大臣から承認をもらう事で国庫帰属が認められる手続きです。法務大臣は、承認申請された土地が、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したとき、承認します。

土地利用ニーズの低下などによって、土地を相続したものの土地を手放したいと考える人が増えた現況に沿って、所有者不明土地の発生を予防するために創設された新たな制度です。

 

今回は空き家の相続について解説しました。

空き家の相続は、相続開始前から、相続をした際に空き家をどのような取り扱いにするのか検討しておくことが大切です。

空き家にはさまざまな活用方法、選択肢があります。

どのような選択肢がベストなのか、自身で判断するのが難しい場合も多いため、まずは一度、相続の専門家に相談されることをおすすめします。

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