中小企業にとって、事業承継は重要な経営課題です。
中小企業を経営されている、あなたは、事業承継(自社株問題)、(後継者問題)にお悩みになっていないでしょうか。
事業承継とは、会社の経営資源と資産を円満に後継者に引き継ぐことです。
日本には優れた技術を持った中小企業が多くありますが、経営者の高齢化と後継者不足から、60歳以上の経営者のうち、50%超が廃業を予定していると答えています。(出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業の事業承継に関するインターネット調査、2016年2月」)
これは、この会社にとって、大きな損失となります。
経営者の方に、そのようなことにならないために事業承継とは何か、その必要性を理解していただき、より早い時期から事業承継に取り組まれるために事業承継の成功のポイントをお伝えしていきたいと思います。
これを読まれ、是非、当社と一緒に事業承継を成功させませんか!
1.事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐこと。
1-1.事業承継の3つの構成要素
事業承継は、「株式の承継」と「代表者の交代」と考えられることがありますが、文字通り、「事業」そのものを「承継」する取り組みです。
事業承継後に後継者が安定した経営をおこなえられるために、現経営者がつちかってきた、あらゆる経営資源を承継する必要があります。
後継者に承継する経営資源は多くありますが、大きく3つあり、「人(経営)」、「資産」、「知的資産」に分けられます。
(事業承継の構成要素)
人(経営)の承継
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資産の承継
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知的資産の承継
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円滑な事業承継を進めていくためには、上記のそれぞれの経営資源を適切に後継者に承継させていくことが大切です。
しかし、一般的に事業承継には時間がかかりますので、十分な準備期間をもって、これらの作業を着実に進めていくことが必要です。
これから、上記の3つの要素の承継の概要をご説明します。
① 人(経営)の承継
人(経営)の承継とは、後継者への経営権の承継を示します。
会社であれば、代表取締役の交代となります。
適切な後継者の選定は事業承継が成功するか否かの重要なことですので、出来る限り早く始めるべきです。
後継者が決まれば、後継者の育成、対話、教育という順番で承継を進めていくことなります。
準備期間としては、5年から10年以上の期間が必要です。
② 資産の承継
資産の承継とは、事業を行うために必要な資産(法人であれば、会社資産を含む自社株式)の承継を示します。
会社形態であれば、会社保有の資産の価値は株式に含まれますので、株式の承継が基本となります。
また、株式を贈与・相続により承継する場合は、資産の状況により多額の贈与税・相続税が生じることがありますので、税の負担を考えた承継方法を検討しなければなりません。
そのためには、早期に税理士等の専門家に相談することが大切です。
③ 知的資産の承継
知的資産とは、会社の帳簿(貸借対照表)に計上されていない資産以外の、無形の資産のことです。
具体的には、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランドなど)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなどで、財務諸表にあらわれてこない経営資源のことです。
そのために、従業員との信頼関係の構築に向けた取り組みを行う必要があります。
1-2.事業承継は、経営理念・想いの承継(法人)
事業承継の重要なことのひとつに、会社の経営理念を承継することを忘れてはいけません。
いわゆるしにせ企業では、時代が変わっても受け継いでいく想いを大切にしています。
このことは、資産や経営権のみならず、会社の経営理念や経営者の想いを伝承していくことが重要になります。事業承継の本質といえる、経営に対する想い、価値観、信条を再確認し、明文化するとともに、後継者や、従業員と共有することが必要です。
事業承継は、単なる形式上の承継ではなく、経営理念や経営者の想いを伝承することが大切です。
その方法として、「知的資産経営報告書」や「事業価値を高める経営レポート」の作成をお進めしています。
現経営者と後継者が一緒に当社のアドバイスで作成することがポイントで、作成を通じて事業の意義や自社の強み現経営者の想いを棚卸しながら後継者と共有して承継します。
- 自社の知的資産(経営)を知る:自社の強みを認識する、知的資産の棚卸
- 自社の知的資産(経営)をまとめる:知的資産経営のストーリー化
- 自社の知的資産(経営)を伝える:コミュニケーションツールとして
- 自社の知的資産(経営)を深める:マネジメントツールとして
2.「事業価値を高める経営レポート」の作成、活用
「事業価値を高める経営レポート」は以下の5つのステップで構成されています。
- ステップ1:企業概要
- ステップ2:内部環境(業務の流れ)(自社の強み・弱み)
- ステップ3:外部環境
- ステップ4:今後のビジョン
- ステップ5:価値創造のストーリー
【成功事例】
黒字化に向けて赤字の会社を「磨き上げ」、黒字化し、企業価値の高まりに後継者も会社を承継する決心をする
- 「知的資産経営報告書」「事業価値を高める経営レポート」を現経営者、後継者、当社で一緒に作成し、後継者とコミュニケーションをとり、現経営者の想いを伝えたことです。
- 事業承継のために、当社のアドバイスにより、会社の「磨き上げ」を行ったことです。
1-3.事業承継の問題点
中小企業の経営者の平均年齢は、約60歳であり、高齢化が進んでいます。
後継者を見つけて育てていくということに苦労しているのが現状です。
また同時に、高額な会社の株式を後継者の負担をできるだけ減らして承継していく方法について悩んでおられることと思います。
このような状況をみますと、中小企業の活力の維持・向上のために、事業承継の円滑化に向けた取り組みは中小企業の経営者や国・自治体等、すべての当事者にとって重要なことです。
この悩みを解決するのには事業承継専門のコンサルタントに相談されるのをお勧めします。
このような事業承継の問題点について、当社の提案により成功に導いた「事例」をご説明していきます。
1.自社株問題
① 自社株式に係る相続税、贈与税の負担が重い。
[事例]:A社の社長の悩み(明治創業の老舗日曜雑貨のメーカー)
株式の承継のための税負担が重すぎる。
現状の株価を前提とした場合、相続税が負担できないから、夜もゆっくり眠れない。
「当社の提案」
事業承継税制の贈与税の納税猶予制度を提案し、税金0で高価な株式を後継者に贈与し移転しました。
これでA社の社長は夜ゆっくり眠られるようになり、業績もアップしました。
② 株主が沢山いて、株式が分散している。
[事例]:B社の社長の悩み(創業60年のアパレルメーカー)
過去、相続税の負担を軽減するため、多数の従業員に株式を分散化させており、株主数が50名もいる。
当社は私の同族会社なので、分散化した株式を買い集めて、息子に安定的に事業を承継したい。
「当社の提案」
株式の集約を行い、持株会社の設立と、贈与税の納税猶予制度を提案し、無事に後継者に株式を引き継ぎました。
2.後継者問題
① 後継者候補がいない、見つからない
[事例]:C社の社長の悩み(都内に数店の靴の小売店を営む会社)
うちの店舗で陳列する靴が好きだという常連客が増え、店舗も安定的に黒字経営が見込まれるようになってきたが、後継者がいない。
「当社の提案」
番頭格の店長を役員にし、親族外承継を提案しました。
② 後継者がいるが、頼りないので、経営を任せるのが不安
[事例]:D社の社長の悩み(海外にも事業拠点を持つ自動車メーカーの下請企業)
息子に事業を承継させることに決定しているが、息子の経営をみているとまだまだ任せるのが不安だ。もう少し、面倒を見てやる必要がある。
ただ、私の健康状態が良くないために、株式の承継自体は早期に進めなければならない。
「当社の提案」
「相続時精算課税をつかい、一気に後継者に株式を贈与し、移転しました。
③ 後継者はいるが、後継者選びで苦慮している
[事例]:E社の社長の悩み(昭和初期創業の工業用部品メーカー)
自分は90歳を過ぎる高齢となり事業を息子たちに承継させなければならないことは十分にわかっているが、二人いる息子のうちどちらに事業を任せればいいか悩ましい。
「当社の提案」
現社長に黄金株を設定し、息子たちの経営に拒否権を使えるようにしました。
2.事業承継の3つの方法
事業承継を円滑に進めるためには、誰にどのように事業を承継するかによって、大きく3つの方法があります。
それは、①親族への事業承継、②親族外の事業承継、③M&Aによる社外の承継です。
承継方法としては、①の親族への事業承継が、一番多いのが現状です。
以下に、アクサ生命の「社長さん白書2018」中小企業経営者6,685人に聞いたアンケート結果から割合を見ていきます。
[事業承継の承継方法]
親族への事業承継 | 68% |
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親族以外の事業承継 | 22% |
事業清算 | 6% |
M&Aによる事業売却 | 2% |
その他 | 2% |
各事業承継の方法ごとに、特徴やメリット・デメリットが異なりますが、それぞれのメリットデメリットを理解し、あなたの会社に合った方法を選択されることをお勧めします。
2-1.親族に承継する場合
現経営者の子息・子女等に会社の事業を承継させるという方法です。中小企業においては最も多いパターンです。
できるだけ早い段階から、経営者と後継者の二人三脚で、事業承継に向けた取り組みを始めましょう。
経営者の想い、経営理念を共有することが大切です。子や親族への事業承継は、会社の所有と経営を一体的に引き継ぎやすいため、早期の取り組みにより、スムーズな事業承継が期待できます。
① 親族内承継のメリット
- 一般的に他の方法と比べて、内外の関係者から心情的に受け入れられやすい。
- 後継者の早期決定ができ、長期の準備期間の確保ができること。
- 相続等で財産や株式を後継者に移転できるため所有と経営の分離をさけることができる。
② 親族内承継のデメリット
- 親族内に経営者としての資質と意欲を持つ後継者がいるとは限らない。
- 相続人が複数いる場合、後継者の決定や経営権の集中が難しくなる。
2-2.親族外に承継する場合
社内の「親族以外」の役員・従業員に事業承継をする方法であり、取引先や取引金融機関から出向してきている人にも後継者になってもらうことも考えられます。
しかし、親族株主の了解を得ることが必要です。
① 親族外に承継する場合のメリット
- 経営者としての能力のある人材を見極めて承継をすることができる。
- 長期間働いてきた従業員であれば経営方針等の一貫性が保ちやすい。
② 親族外に承継する場合のデメリット
- 後継候補者に株式取得等の資金力がない場合がある。
- 現経営者の個人債務保証の引継ぎ等の問題がある。
2-3.M&Aによる社外の承継
M&Aとは、企業の合併や買収のことをいい、最近は未上場企業でもM&Aの件数が増加傾向にあります。
事業承継の方法の一つとしても広く浸透しています。
具体的には、株式譲渡や事業譲渡により、承継を行う方法です。
① M&Aのメリット
- 現経営者が会社売却の利益を獲得することができる。
- 広く後継者の候補者を外部に求めることができる。
② M&Aのデメリット
- 希望の条件を満たす買い手を見つけるのに時間がかかる。
- 経営の一体性を保つのに時間がかかる。
3.事業承継を成功に導く5つのポイント
事業承継を円滑に行い成功に導くためには、早期に準備にとりかかり専門家等の支援機関の協力を得ながら、事業承継の実行、さらには自社の事業の10年後を見据えて着実に行動を重ねていくことが重要です。
これから、事業承継に向けた5つのポイントをお知らせしていきます。
3-1.早めに準備を行い、事業承継計画書を作成する
事業承継は、数年~10年以上かかるといわれています。後継者に事業を引き継ぐまでに10年かかるとしますと、50歳代のうちには後継者探しに着手したいものです。
それは、親族内承継や親族外承継、またはⅯ&Aのどの方法によるとしても、後継者の育成やマッチング企業との調整などには、かなりの期間を要するからです。
自社を取り巻く状況を踏まえて、事業承継を着実に進めていくために、具体的な「事業承継計画書」を作成します。
事業承継計画書は、後継者や親族などと一緒に、取引先や従業員、金融機関等との関係を考えながら作成します。
事業承継計画では、自社の中長期的な経営方針、方向性、目標などを盛り込みながら、その中に事業承継の行動計画を作成していきます。
税理士、弁護士等の事業承継専門家のサポートを受けることが大切です。
【事業承継計画の作成に必要な作業】
1.自社の現状分析 | 経営の見える化を通じて把握した事業の現状を整理します。 |
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2.今後の予測 | 事業承継した後、事業の持続的な成長を実現するために今後の環境の変化を予測し、対応策を検討します。 |
3.方向性・承継時期 | 現在の事業を継続していくのか、事業の転換を図っていくのかなど、自社の事業領域を明確にし、実現するための戦略についてもイメージを固め、事業承継の時期、方法を計画していきます。 |
4.目標の設定 | 売上や利益、マーケットシェアといった具体的な指標ごとの中長期的な経営戦略について、目標を設定します。 |
5.課題の整理 | 後継者を中心とした経営体制へ移行する際の具体的な課題を整理します。専門家への相談、資金調達といった要素を盛り込むことで、より、現実的な計画を作成できます。 |
3-2.「事業承継ガイドライン」、「事業承継マニュアル」を活用する
中小企業庁では、中小企業、小規模事業者の円滑な事業承継を進めるために「事業承継ガイドライン」や「事業承継マニュアル」というものを公表しています。
これには、事業承継の重要性や具体的な手続きの方法などがまとめられています。
まずは、こちらに目を通して、事業承継とは具体的にどういうものであるか、どういった流れで進めていけばよいかを理解しておけば、専門家に相談するうえでも効率的です。
【参考】 事業承継ガイドライン 中小企業庁
【参考】 経営者のための事業承継マニュアル 中小企業庁
3-3.事業承継専門家のサポートを受ける
事業承継には、相続や贈与にかかる税金のほか、様々な法的な問題がかかわってきますので税理士、弁護士等の事業承継専門家のサポートを受けることをおすすめします。
税理士は、顧問契約を通じて日常的に中小経営者との関わり合いが深く、決算支援等をとおして、経営にも深くかかわっています。
経営者に最も近い存在として、相続税に関する助言や株価の評価、生前贈与のやり方や種類株式の発行に関する助言等、事業承継に関する幅広い領域にわたるサポートが期待出来ます。
弁護士は、中小企業や経営者の代理人として、事業承継を進めるにあたり、株主関係が複雑な場合や、会社債務・経営保証等に関する金融機関との調整、交渉が必要な場合、M&Aを活用する場合等においては、法律面の検討と課題の洗い出し、それらを踏まえたスキーム全体の設計、契約書をはじめとする書面の作成といったサポートが期待されます。
3-4.事業承継税制を活用する
事業承継では、後継者が先代経営者から自社株式や事業用資産の取得をするときに、後継者には贈与税や相続税の税負担が発生します。
計画的な事業承継をうながすために、税負担の軽減につながるような制度が設けられています。
その中でも、平成30年度税制改正ですでにある「事業承継税制」を拡充した「事業承継税制の特例」が創設されました。
これは、非上場株式の相続税・贈与税の100%の納税が猶予されるという納税猶予制度で、一定の要件を満たせば自社株式の相続・贈与に係る100%の相続税・贈与税を猶予又は免除することができる制度です。
特例承継計画を作成し、適用要件を満たせば納税額を軽減することができ、円満な事業承継に活用することができます。
参考:非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)のあらまし
(国税庁)
3-5.事業承継補助金を活用する
事業承継に係る国の支援策として、税制優遇のほかに補助金もあります。
事業承継補助金は、事業承継やM&Aなどをきっかけとした、中小企業の新しいチャレンジを応援する制度です。
① 経営者の交代後に経営革新等を行う場合や、② 事業の再編・統合等の実施後に経営革新等を行う場合に必要な経費を補助します。(補助上限は①の場合、200万円、②の場合500万円、補助率3分の2)
2016年4月1日~2019年12月31日の間に事業承継を行う必要があります。
参考:中小企業庁・事業承継補助金サイト
4.まとめ
事業承継を円滑に進めるためには、長期的視野に立った事業承継計画書を作成する必要があります。
そのためには、できるだけ早めに事業承継に着手する必要があります。
事業承継を、成功に導くためには初期の段階で税理士などの専門家のサポートを得ておくべきです。
事業承継対策をこうじないままでいると、最悪の場合は廃業に追い込まれることになりかねません。
当社の事業承継コンサルティングを受けられることにより、事業承継を成功させてみませんか。