定額減税とは?対象者や減税の仕組みを徹底解説

令和6年度の税制改正によって、同年6月より「定額減税」が実施されることに決まりました。
本記事をご覧の方の多くは、既にネットニュースなどで制度の名前を見かけていることでしょう。
その上で、定額減税が自分に適用されるのか、特別な手続きが必要なのか等を気にされているはずです。
そこで今回は定額減税について、対象者や減税の流れ、および制度を利用する上での注意点などを解説していきます。

 

1.令和6年6月より所得税額の特別控除が実施されます

令和6年3月28日、同年度の税制改正関連法が参議院で可決されました。
税制改正関連法の中には、賃上げ税制や住宅ローン減税など様々な施策が盛り込まれていますが、私たちの生活に一番直結するのは定額減税でしょう。
具体的には、所得税と住民税を対象とした特別控除が、令和6年6月分から実施されることになります。

 

2.定額減税とは

定額減税とは、その年の所得税と住民税から一定の金額を差し引く特別控除です。
所得税は前年の所得金額によって、税率が5~45%の7段階に分かれていますが、どの税率帯においても定額減税の控除額は変わりません。
つまり定額減税は、所得が低い人ほど控除の恩恵を受けやすい制度となっています。

 

2-1. 実施される背景

定額減税が実施される背景として最も大きいのは、長期化している物価高です。
総務省統計局の調査によれば、令和2年から同5年までの間に、消費者物価指数(※)が5.6も上昇しています。
コロナ禍やウクライナ侵攻など様々な原因が重なった結果ですが、政府もその間、何もしていなかったわけではありません。
国税庁が実施する民間給与実態統計調査では、令和2年から同4年にかけて、給与所得者の平均年収は約5.2%上昇しています。(435万円→458万円)
それでも、令和6年度税制改正の大綱では「賃金上昇が物価高に追いついていない」と結論付けられ、定額減税が実施される運びとなりました。

 

2-2. 対象者

定額減税の対象者となるのは、令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下、もしくは収入源が給与所得のみで2,000万円以下という人です。
所得金額には給与所得のみならず、不動産所得や利子・配当所得、雑所得といった様々な所得形態が含まれます。
また、定額減税は日本在住もしくは日本国内に1年以上居所を有する人が対象となっており、日本に住んでさえいれば外国人労働者にも適用されます。
さらに、定額減税は公的年金からの源泉徴収にも適用されるため、年金生活者でも控除の恩恵を得ることが可能です。

 

2-2-1. 同一生計配偶者と控除対象配偶者の違い

同一生計配偶者がいると、定額減税による所得税の特別控除を追加で受けることができます。
同一生計配偶者とは、納税者本人と生計を共にし、かつ令和6年分の合計所得金額が48万円以下の配偶者です。
住民税の特別控除に関しても、配偶者がいると控除額が二倍になる可能性がある点は変わりません。
ただし、住民税においては「控除対象配偶者」というカテゴリになっており、同一生計配偶者よりも対象者が狭くなっています。
具体的には、同一生計配偶者の条件を満たしつつ、さらに納税者の前年の所得金額が1,000万円以下の場合のみ、控除対象配偶者と認められます。

 

2-2-2. 扶養親族と控除対象扶養親族の違い

配偶者以外に扶養親族がいると、所得税・住民税ともに特別控除額をさらに追加できます。
扶養親族とは、納税者本人を基準とした6親等内の血族、もしくは3親等内の姻族(配偶者を基準とした血族)です。
血族側は実質的に生きてる人全員が対象となる一方、姻族側は「いとこ」や「甥っ子・姪っ子」などが対象外となります。
また、扶養親族にカテゴライズされるには、配偶者同様に納税者と生計を共にし、かつ年間所得金額が48万円以下でなければいけません。
それでも、一般的な扶養控除の要件である「控除対象扶養親族」に比べれば、多少は条件が緩めです。
控除対象扶養親族とは、扶養親族の条件を全て満たし、かつその年の末日時点で16歳以上の人を指します。

 

2-3. 特別控除される額

定額減税による特別控除額は、所得税が3万円、住民税が1万円です。
また、条件を満たす配偶者、および他の扶養親族がいれば、その人数分だけ控除額が倍増します。
例えば、16歳未満の子供が2人の4人家族という場合、所得税と住民税の控除額がそれぞれ4倍になり、トータルで16万円の減税となります。
仮に年収を1,000万円とすると、令和6年分の所得税は以下の通りです。

10,000,000×0.33(税率)-1,370,000(基礎控除)-160,000(特別控除)=1,770,000円

特別控除がない場合に比べ、およそ10%の減税となっていますから、家計への恩恵は十分に実感できることでしょう。
※480,000円(基礎控除)+ 130,000(配偶者控除)+ 760,000(380,000(扶養控除)×2)=1,370,000円

 

3.減税方法

ここからは、定額減税が具体的にどのような仕組みで実施されるのかを、所得税と住民税に分けて解説していきます。

 

3-1. 所得税

定額減税を所得税に適用するにあたっては、直近の源泉徴収税額ないし予定納税額から、特別控除分を一括で差し引くのが基本です。
以下で詳しく見ていきましょう。

3-1-1. 給与所得者

給与所得者の場合、通常の所得税と同じく源泉徴収が実施されるため、原則として所得者本人には何の手続きも課されません。
ただし、一般的な扶養控除の申告書に記載していない扶養親族がいる場合は、令和6年6月1日以後最初の給料日までに「定額減税のための申告書」を別途提出する必要があります。
一方で会社側は、給与支給時と年末調整時のそれぞれにおいて、控除額を精算する減税事務が必要です。
減税事務においては、扶養控除や配偶者控除などの申告書から控除の倍率を求め、それを元に特別控除後の所得税を計算します。
実際の控除は原則、令和6年6月分の源泉徴収税額から一括で行われ、控除しきれなかった分は翌月以降に順次繰り越されます。
例えば源泉徴収税額が月5万円、定額減税による所得税の特別控除額が12万円の場合、6月分と7月分の源泉徴収税額は0円、8月分の源泉徴収税額は特別控除額の残り(2万円)を差し引いた3万円です。

3-1-2. 事業所得者等

自営業者や個人事業主は事業所得者に分類され、定額減税を利用するにあたっては、通常の所得税と同じく自分で確定申告を行う必要があります。
令和6年分の確定申告期間は翌年2月17日~3月17日までで、そこで申告した所得税額から特別控除分が一括で差し引かれるため、給与所得者に比べると減税のタイミングはかなり遅めです。
ただし、前年の所得税の納税額が15万円を超えている場合は、予定納税(※)によって早めに減税の恩恵を受けられます。
具体的には、令和6年7月の第1期予定納税額から特別控除分が一括で差し引かれ、控除しきれなかった場合は同年11月の第2期に繰り越されます。
(※)基準額(原則として前年の所得税額)が15万円を超えている場合に、基準額の3分の1を2回に分けて納め、その納付額を翌年の確定申告時に差し引く制度

3-1-3. 年金受給者

令和6年分の年金受給者に対しては、あらかじめ日本年金機構より「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が送付されます。
定額減税を利用する場合は、この申告書に配偶者や扶養親族の情報を記入して返送しましょう。
申告書が滞りなく受理されれば、記入内容が定額減税の特別控除額に反映され、あとは給与所得同様に源泉徴収税額から一括で差し引かれます。(控除しきれなかった分が次回に繰り越される点も同様)

 

3-2. 住民税

定額減税を住民税に適用するにあたっては、給与所得者とそれ以外で控除の仕方が大きく異なります。
簡単にいえば、給与所得者は11か月間に分けて控除が行われるのに対し、事業所得者や年金受給者はあくまでも直近の納税分から一括控除される仕組みです。
以下で詳しく見ていきましょう。

3-2-1. 給与所得者

給与所得者の場合、定額減税を適用した令和6年分の住民税は、同年7月から翌年5月までの11か月間に分けて均等に給料から差し引かれます。(6月分は徴収されない)
例えば定額減税による住民税の特別控除額が4万円の家庭で、元々の住民税が年間100万円となる場合、1か月当たりの源泉徴収額は以下の通りです。

(1,000,000-40,000)÷11=87,273円

元々の住民税の源泉徴収額(90,909円)と比較しても、1か月あたりの減税額は3,636円にとどまるため、所得税に比べると減税の恩恵は実感しにくいでしょう。

3-2-2. 事業所得者等

事業所得者に課せられる住民税は、予定納税の有無に関係なく、6月・8月・10月・翌年1月の4期に分けて納める仕組みです。
定額減税の特別控除分は、6月の第1期分から一括で差し引かれ、控除しきれなかった分は8月の第2期分から改めて差し引かれます。
なお、住民税に関しては、毎年5~6月に届く「住民税決定通知書」に定額減税の控除額込みで記載されるため、自分で計算・申告する必要はありません。

3-2-3. 年金受給者

年金受給者に対しても、偶数月の受給額が18万円以上である場合には住民税が課されます。
といっても、所得税の源泉徴収と同じく、特別徴収という名目で年金から天引きされるため、受給者側で申告書などを作る必要はありません。
定額減税の特別控除も、この特別徴収税額から差し引かれるわけですが、控除のタイミングは令和6年10月と少々特殊です。
なお、10月分で控除しきれなかった分は、12月およびそれ以降の偶数月に繰り越されます。

 

4.注意点

定額減税の特別控除を受けるにあたって、注意しなければならないことは幾つかあります。
中でも要注意度が高めなのは、年金+不動産など、複数の収入源を持っている場合です。
定額減税は給与・年金・不動産などあらゆる所得にそれぞれに反映されるため、収入源が複数あると、特別控除も重複してしまいます。
重複した控除分については、令和6年分の確定申告によって精算しなければいけません。
これは給与+年金など、それぞれが本来確定申告を必要としない所得であっても同様です。
従来の確定申告と同じく、申告を忘れると加算税や延滞税がかかってしまうので注意してください。
他にも以下のような場合に、年末調整ないし翌年の確定申告による差額の精算が必要となります。

  • 令和6年6月2日以降に就職した場合
  • 令和6年7月以降に世帯構成が変わる場合

なお、住宅ローンやふるさと納税などで別個に特別控除を受けていたとしても、定額減税の額に影響することは一切ありません。

 

5.まとめ

以上、令和6年6月から実施される定額減税について、対象者や減税の流れを解説しました。
本記事の内容をまとめると以下の通りです。

  • 定額減税とは、その年の所得税と住民税から一定額を特別控除する制度であり、今回(令和6年)は慢性的な物価高に賃金を釣り合わせる目的で実施される
  • 特別控除額は所得税が3万円から、住民税が1万円からとなっており、これに特定配偶者+扶養親族の人数を掛けた数字が最終的な控除額となる
  • 定額減税は直近の源泉徴収および納税のタイミングで一括反映されるのが基本だが、給与所得者の住民税だけは11か月間にわたって分割で控除される

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