遺言書がある場合の相続税への影響は?申告方法や生前対策を徹底解説
遺言書は、亡くなった後に自分の財産をどのように配分するかを意思表示した書類です。
遺言書を残しておくことで、誰に財産を渡したいかを示すことが可能です。
この遺言書がない場合、故人の遺産は相続人全員で話し合いをし、相続人全員の合意がないと遺産分割できなくなります。
遺産分割がうまく行かなければ、相続人同士でのトラブルに発展することもあるため、遺言書を残しておきたいと考える人も増えてきているようです。
そこで今回は、遺言書がある場合の相続税への影響について詳しく解説します。
<この記事を読んでわかること>
- 遺言書を残しておくことで相続対策になる
- 遺言書の種類を紹介
- 遺言書があることで申告がスムーズになる理由
- 遺言書がない場合のトラブル例
- 遺言書を作成するときの注意点
他にも、遺言書を残すことで相続がスムーズになる等のメリットもわかり、遺産分割時のトラブル回避にもつながります。
ぜひ最後までご覧ください。
1.遺言書を作成することで相続対策になります
生前に遺言書を作成しておくことで相続対策ができることをご存知でしょうか?
遺言書があると相続人同士での話し合いの必要がなくなり、遺産の分け方でもめることが少なくなります。
遺言書を用意しておくと、それぞれの相続人が取得する遺産を指定できるため、相続手続の負担を軽くできるのです。
被相続人が亡くなった場合、その財産は法定相続人によって引き継がれます。
法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を受け継ぐことができる人です。
本来、民法によって遺産の相続割合が決められています。
しかし、遺言書がある場合、法定相続分よりも遺言書に書かれた内容が優先されるのです。
遺言書を残しておくことで、法定相続分とは異なる遺産分割ができたり、法定相続人ではない人へ遺産を残すことも可能になります。
2.遺言書には種類があります
遺言書には種類がいくつか分かれており、それぞれに特徴があります。
遺言書を作成する前にそれぞれの特徴を知っておくことで、自分にあった遺言書の作成方法を見つけることができるかもしれません。
遺言書の種類は大きく分けて次の3種類があります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
最初にわかりやすく遺言書の種類別に特徴を表にまとめました。
種類 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 |
---|---|---|---|
作成方法 | 遺言者本人が遺言書の全文、日付を自筆にて作成し、署名押印する | 公証役場で証人2名同席の下、遺言者が公証人の前で口述し、公証人が筆記作成する | 遺言者が署名、押印をした遺言書を封筒に封印したものを公証役場に持参する |
証人 | 不要 | 必要 | 必要 |
保管方法 | 自宅や被相続人が保管 ※法務局に保管も可 |
公証役場で保管 | 自宅や被相続人が保管 |
費用 | かからない ※法務局で保管する場合は費用がかかる |
かかる | かかる |
メリット |
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デメリット |
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2-1.自筆証書遺言
好きな時や好きな場所で遺言書を作成したい場合は、自筆証書遺言書が最適です。
自筆証書遺言は、遺言者1人で作成することができ、コストをかけたくない人にとってはおすすめの遺言書になります。
自筆証書遺言は自筆で作成することが基本であり、日付と名前を記入、捺印することで遺言書として認められます。
2020年より、相続指定用の財産目録は署名・捺印があればワープロ文書でも作成可能になりました。
自筆証書遺言書のメリットは、証人がいらないので自分のタイミングで作成できる点です。
もちろん、書き直したい時はいつでも変更可能です。
他にも作成の費用をかけずに作成できる点や証人を置かなくても良い点などが挙げられます。
一方、デメリットとして、亡くなった後に発見されない可能性や保管を自分で行うため、紛失や隠蔽などの可能性があります。
2-2.公正証書遺言
公正証書遺言は、証人2名以上立ち合いのもと遺言者が公証人に遺言内容を口述する形で公証人が遺言書を作成する方法です。
公正証書遺言を作成したい場合、遺言者は公証役場へ出向かなければなりません。
しかし、病気で寝たきりや公証役場に出向くことが困難な場合は、公証人が自宅や入院先などに出向き作成することができます。
公正証書遺言書のメリットは公証人が法的に正しい遺言書を作成するため、不備で無効になることがありません。
また、保管も公証役場で行うため、紛失や隠蔽などがないので安全です。
一方、デメリットは、費用がかかる点と証人を2名以上選出しなければならない点です。
証人には、将来相続する人や財産を引き継ぐ受託者、その配偶者などを選ぶことができません。
そのため、司法書士や弁護士などの専門家に頼むことで費用がかかってしまいます。
他にも遺言目的である財産価額によって作成手数料がかかります。
このように公正証書遺言書を作成したい場合は、費用がかかる点を考慮しておかなければなりません。
2-3.秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言書の内容を本人以外秘密にすることができ、封書などで封印したものを公証役場に提出することで遺言書として証明してもらう方法です。
この遺言書は自筆証書遺言のように自筆で書く必要はないため、ワープロ文書での作成が可能になります。
しかし、秘密証書遺言を作成する場合は、公証人及び2名の証人の前で証明してもらう必要があります。
秘密証書遺言は他の方法に比べて手間がかかったり、遺言書として認められるには方式があるため、不備があると無効になってしまいます。
秘密証書遺言のメリットは、本人以外に内容を知られることがない点です。
また、遺言者が亡くなった後、遺言書が見つからないトラブルを防ぐこともできます。
一方で秘密証書遺言のデメリットは手間がかかる点です。
内容は秘密にできますが、正式に公証役場に認められるために公証人+2名の証人が必要になります、
そのため、専門家に頼むなどの手間もかかりますし、費用もかかります。
3.遺言書がある場合、相続手続をスムーズに進めることができます
遺言書が相続手続に与える影響について解説します。
遺言書がある場合、相続手続をスムーズに進めることができます。
遺言書を残しておくことで、故人が亡くなった後の遺産をスムーズに分割することができます。
これについて、次の2つのメリットがあります。
- 遺産分割について話し合う必要がない
- 親族間でのトラブルを回避できる
一つずつ解説していきます。
3-1.遺産分割について話し合う必要がない
遺言書を残しておくと、遺産分割について話し合う必要がありません。
遺言書は、ご自身の遺産を残された遺族にどのように分割するかを示したものです。
仮に遺言書がないと残された遺族が遺産分割を話し合わなければなりません。
話し合いがスムーズに済めば良いのですが、相続人全員が納得行かない場合は長引くことも考えられます。
遺言書は、被相続人の意思を表すものであり、原則的に法定相続分より優先されます。
そのため、法定相続人同士での話し合いを行う必要がないのです。
3-2.親族間でのトラブルを回避できる
遺言書を残すことで、親族間のトラブルが回避できます。
被相続人が亡くなると、相続人同士で遺産をどのように分けるべきか話し合いを行わなければなりません。
遺言書がないと、相続人同士でそれぞれの納得いく話し合いができず、トラブルになる可能性もあります。
親族それぞれが独立し、家族を持っていたりするとどうしてもお互い疎遠になってしまいがちです。
また、それぞれの価値観の違いや生活環境の中でお互いの状況がわからず、意見だけを押し付けるだけで話し合いがまとまらないこともあります。
このようなトラブルを避けるためにも被相続人が生前に遺言書を作成しておくことでスムーズに遺産相続ができるのです。
4.遺言書を作成していないと多くのトラブルが起こる可能性があります
遺言書を作成していないと多くのトラブルが起こる可能性があります。
遺言書を作成していない場合のトラブルには次のようなケースがあります。
- 親族同士が揉めてしまう
- 遺産分割が決まらない場合、相続税の特例が使用できなくなるリスクが高まる
- 相続人以外への財産配分ができない
一つずつ取り上げて詳しく解説します。
4-1.親族同士が揉めてしまう
先の「親族間でのトラブルを回避できる点」でも解説しましたが、遺言書の作成がない場合、遺産分割協議がうまく行かず、親族同士での揉め事が起こってしまうケースがあります。
遺言書がない場合、相続人同士が全員集まり遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議でお互いが納得いくような分割ができれば良いですが、そうでないことも多くあり、トラブルの元になってしまいます。
遺言書があることで、一般的には故人の遺志を尊重することになるので遺産分割協議を行う事はなくなります。
4-2.遺産分割が決まらない場合、相続税の特例が使用できなくなるリスクが高まる
遺産分割が決まらないと相続税の特例を受けることができなくなり、多くの税金を払うことになるかもしれません。
相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の次の日から10ヶ月以内に被相続人の住所地にある管轄税務署に申告して税金を納めなければなりません。
遺産分割が決まらないことには、各相続人の相続額もわかりません。
そのため、相続税の期限に間に合わず特例等の利用もできなくなってしまうのです。
一方、遺言書があれば、誰がどの遺産を相続するかが明確に決められているため、特例を利用できる可能性が出てきます。
4-3.相続人以外への財産配分ができない
遺言書がないと相続人以外への財産配分ができません。
通常、被相続人の遺産は法定相続人に分割されます。
遺言書がなければ、いくら相続人以外の人に遺産を渡したいと思っても渡すことはできないのです。
遺言書に誰にどれだけの遺産を渡したいかを書いておくことで、故人の希望にあった財産配分ができるようになります。
5.遺言書を作成する際の注意点
続いて、遺言書を作成する際の注意点について解説します。
遺言書の作成は、正しいルールを守らないと無効になってしまいます。
注意すべき点に気をつければ、遺言書の作成はそれほど難しくはありません。
注意すべき点は次の通りです。
- 遺留分の侵害を考慮する
- 二次相続を考慮する
- 遺言執行者を指定する
今回は、3つの点を取り上げて解説していきます。
5-1.遺留分の侵害を考慮する
遺言書を作成する際は、遺留分侵害額請求に相当する財産は考慮しておきましょう。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保証された遺産です。
この遺留分を無視した遺言書を作成していると、内容によっては相続人同士での揉め事となってしまうことがあります。
遺留分権利者は、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分侵害額請求の対象となる財産は、被相続人が生前に贈与した財産や遺贈された財産です。
詳しくは次のようなものがあります。
- 相続開始前1年以内に贈与された財産
- 相続開始前10年以内に相続人に贈与された財産
- 遺留分を侵害すると知りながら贈与された財産
- 遺産に対して多すぎる保険金
遺言書の作成には、遺留分の対象となる財産があるかを調べておき、遺留分の侵害をしているかどうかを考慮して作成しましょう。
5-2.二次相続を考慮する
遺言書の作成には二次相続を考慮しておくことも大切です。
二次相続とは、一次相続で相続人となった配偶者が亡くなった時に発生する相続のことです。
二次相続では、すでに配偶者が亡くなっているため、基礎控除額が減ってしまいます。
その結果、相続税に大きく影響してしまい、納める税金が多くなる可能性があるのです。
例えば、二次相続になると相続税が高額になる次のような理由が挙げられます。
- 配偶者控除が使えない
- 小規模宅地等の特例の利用ができないかもしれない
遺言書を作成する場合、二次相続を考慮しながら配分することをお勧めします。
5-3.遺言執行者を指定する
遺言書の作成において気をつける点として遺言執行者をあらかじめ指定しておくのが良いでしょう。
遺言執行者とは遺言を実行する役割の人のことで、遺言執行者を指定しておくと被相続人が亡くなった後に遺産相続がスムーズになります。
また、遺言書が見つからないといったトラブルを回避することもできます。
6.遺言書を作成した後でも書き直しは可能です
遺言書は一度作成したとしても書き直すことは可能です。
生きている間であれば、気持ちの変化があったときはもちろん、財産状況が変わったり、家族関係に何らかの問題が出てきた場合などのタイミングで書き直しできます。
何通も遺言書がある場合は、新しい日付が有効となります。
しかし、公証役場で作成する公正証書遺言の場合や秘密証書遺言などは書き直しの際に新に手数料が出ますので注意しなければなりません。
まとめ
今回は、遺言書について詳しく解説しました。
遺言書を作成しておくと亡くなった後の相続がスムーズに進みトラブルが少なくなるといったメリットが挙げられます。
遺言書は大きく分けて3つあり、次のような遺言書の種類があります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
それぞれの遺言書の特徴を理解し、保管方法も含めて、ご自分にあった方法で作成するようにしましょう。
また、遺言書がないと、残された親族間の関係性も含めて遺産の分割でトラブルが起きてしまったり、なかなか各人の相続額が決まらなかったりと問題が起きてくることが予想されます。
また、遺産分割が決まらないことで相続税への影響も出てきます。
親族との関係性、遺産のことも含めて、相続で揉めないためにもしっかりと自分自身の意思を遺言書に書き残しておくことをお勧めします。ご不明な点等ございましたら、ランドマーク税理士法人にご相談ください。
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