相続税額はいくら?|知っておきたい相続税の計算方法

相続税の申告は、一生のうち何度も行うものではありません。相続税の申告を行う多くの人は初めて相続税の申告を行うことになります。

相続税の申告が得意な人はほとんどいないと思います。いざ相続税の申告を行う際に必要なのが相続税の計算を行うことです。相続税をいくら払うか計算しなければ相続税の申告を行うことなどできません。

しかしこの相続税の計算ですがどのように行えばいいのかわからない方がほとんでしょう。

そこで今回は、相続税の計算について詳しく説明します。

1.資産と負債のすべてを把握する

相続税の計算をするためにはまずは被相続人の資産と負債のすべてを把握する必要があります。

資産と負債の把握なんて簡単にできると思っている方も多いかもしれませんが意外と難しいことが多いです。

たとえ家族でも家族に内緒の資産や負債は意外とたくさんあるからです。預金1つとっても家族に内緒の隠し口座があるかもしれませんし、負債の場合も家族に内緒の消費者金融などの借金があるかもしれません。

相続が発生した段階で資産と負債のすべてを把握することは非常に難しいので、普段から資産と負債については家族で共有するようにしておきましょう。

見逃しやすい遺産の代表格は、ゴルフ会員権と骨董品です。ゴルフ会員権や骨董品も価値があるものになりますので、立派な資産になります。

また不動産に関しても意外と本人しか知らない建物や土地があるケースもありますのでしっかり把握するようにしましょう。

特に負債が多い場合は相続放棄を検討する場合もあると思います。相続放棄は相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に行わないといけないので素早く把握する必要があります。

代表的な資産や負債について載せておきますので参考にしてください。

1-1.代表的な資産や負債

・現預金

現預金は最も見つけやすい資産だと思います。

しかしタンス預金にしている場合や家族に内緒の隠し口座がある場合がありますので注意してください。

・有価証券

株や投資信託などの有価証券を保有している場合もあります。

株や投資信託などの有価証券は銀行の預金と違って通帳がないことが圧倒的に多いです。

取引報告書等で確認することもできますが、最近はインターネットで報告書を見ることができるので郵送で報告書を送らない証券会社もあります。

ただ年に1回、年間取引報告書という書類は必ず届きますのでそちらで確認することは可能です。生前に取引している証券会社を把握しておかないと有価証券の中身を把握する事は意外と難しいので注意してください。

・不動産

不動産は誰でも見つけることができると思っている方もいるかもしれません。

しかし今から30~40年前に田舎の土地を安い価格で買う詐欺商法が非常に流行っていた時があります。

このような場合、家族にも恥ずかしくて不動産を購入したことをいわない人も非常に多いのでこのような不動産を見つける事は難しいです。

日ごろから権利証等をしっかり管理するようにしておきましょう。

・ゴルフ会員権

ゴルフ会員権とは、そのゴルフ場でいつでもプレイすることができる会員権のことをいいます。

バブル時代にゴルフ会員権を持っている人は非常に多かったです。当時は1億円以上するゴルフ会員権も珍しくありませんでした。

現在は価格が落ちている可能性が高いですが、こちらも立派な資産になりますのでしっかり把握するようにしましょう。

・骨董品

骨董品には様々な種類があります。美術品や時計など様々なものがありますので値段を把握することが難しいかもしれません。

しかしこの手の専門家は必ずいますので鑑定してもらうようにしましょう。全く相場観がないとぼったくられる可能性もありますのである程度の相場観は持っておくことが必要です。

慎重を期すのであれば複数の業者に鑑定してもらった方が良いでしょう。

・他人名義の通帳

他人名義の通帳をもっているケースは意外と多いです。代表的な他人名義の通帳は子供や孫の名前で貯金しているケースです。

本来、子供や孫の名前になっているので子供や孫の財産になりますが贈与契約書を結んでいない場合、被相続人の資産になりますので注意してください。

このように資産には様々な種類があります。中には課税の対象外のものもありますので代表的なものを紹介します。

・仏具や墓石

仏具や墓石は課税の対象外になります。葬式代も課税の対象外です。

ただし最近、金の仏具等を相続対策のために買う人が増えているようです。このような高価な物に関しては課税の対象になる可能性が非常に高いので注意してください。

負債に関しては、ローンや未払いの入院費、未払いの税金などが代表的なものになります。

相続が発生してから思わぬ支出がある可能性がありますので注意してください。

2.法定相続人を確定させる

資産と負債の把握をするのと同時に法定相続人が誰であるかを確定させる必要があります。

法定相続人は戸籍で判断されることになりますので、被相続人の戸籍を早い段階で取り寄せるようにしましょう。

銀行や証券会社で相続手続きをする場合、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍は必ず必要になりますので少し多めに取っておくことをおすすめします。

被相続人がずっと同じ場所に住んでいれば特に戸籍を取り寄せる事は難しくありませんがいろいろなところに引っ越しをしていた場合だと各所在地に問い合わせをしないといけないので結構な労力が必要となります。

相続を受ける権利がある人は配偶者の有無や子供の有無によって変わってきます。

また注意が必要なのは養子や非嫡出子です。養子も非嫡出子も相続人になる権利がありますのでこちらはしっかり認識しておいてください。

以下に代表的なケースを載せておきますので参考にしてください。

相続の順位 法定相続人 法定相続分
第一順位 直系卑属(子・孫) 配偶者:1/2 子:1/2
第二順位 直系卑属(父母・祖父母) 配偶者:2/3 直系尊属:1/3
第三順位 兄弟姉妹 配偶者:3/4 兄弟姉妹:1/4

3.遺産の種類によって相続税の控除や特例等がある

遺産の種類によっては相続税の控除や特例等があるものもあります。

今回は代表的な資産である現預金・生命保険・不動産について見ていきましょう。

・現預金

現預金は残念ながら一切控除がありません。仮に1億円預金で持っていた場合は、1億円が課税対象になります。

現預金は一切の控除がありませんので、最も相続税が取られやすい資産になってしまいます。ただローン等の負債がある場合はその負債額については控除することができます。

例えば1億円の資産に対して5,000万円のローンがあった場合は課税対象になる資産は5,000万円になります。相続対策として富裕層がアパートを建ててローンを組む理由はこちらになります。

・生命保険金

生命保険金の場合は非課税枠があります。生命保険の死亡保険金に対して500万円×法定相続人の額が非課税枠となります。

例えば法定相続人が3人の場合500万円× 3で1,500万円になりますので、死亡保険金が1,500万円を超える場合、その超えた部分が相続税の課税対象になります。

現預金ではこのような非課税枠がないので相続税を支払う必要がありそうな方は生命保険に入っておいたほうがよさそうです。

・不動産

土地は路線価方式もしくは倍率方式で計算されます。
路線価方式、倍率方式は一般的に市場の時価の8割程度になることが多いです。

また建物に関しては固定資産税評価額で計算されます。建物の築年数によっても異なりますが一般的には今から建てる建物の建築費用を10とすると5から6割程度で評価されることが多いようです。

また不動産の場合、居住している不動産等の場合は小規模宅地等の特例を利用することができます。小規模宅地等の特例は最大80%まで評価額を下げてくれる特例になりますので非常に効果の高い特例といえるでしょう。

4.基礎控除

預金や土地・建物などの財産から未払金や借入金などの債務を引いたものが正味の遺産額となります。

基礎控除とは、正味の遺産額から控除することができるものです。

2015年に相続税の改定があり基礎控除の金額は大きく減少しました。以前は5,000万円+法定相続人× 1,000万円が控除の対象でしたが2015年からは3,000万円+法定相続人× 600万円まで減っています。

基礎控除は4割減ったことになりますので多くの方が相続税の対象になっています。基礎控除の改定が行われる前までの相続税を払う人の比率は約4%でしたが基礎控除の改定後、相続税を払う人の比率は約8%になっています。

例えば夫婦と子供が2人いる一般的な家庭の場合、夫や妻に万が一のことがあると法定相続人は3人となります。法定相続人が3人の場合の基礎控除は4,800万円です。

この金額だと首都圏に土地を持っていてそれなりの金融資産がある方は相続税の対象になる可能性が非常に高くなります。相続税は一部の富裕層が支払うイメージがあるかもしれませんが今後は中流家庭の人も相続税の支払いの対象になる可能性は充分あります。

5.相続税の計算方法

正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた金額が課税遺産総額で相続税の課税対象となります。

課税遺産総額をいったん法定相続分で分割したものとして各相続人の相続税額を下記の「相続税の速算表」で計算します。

次に各相続人の相続税額をすべて合計して相続税の総額を計算します。

最後に、この相続税の総額を実際の各人の相続割合で応じて割り振って各人の相続税を計算します。

【相続税の速算表】

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,00万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

6.税額控除

各人の相続税が出ましたら、そこからさらに控除できるものがあります。

代表的な控除は、配偶者控除、未成年者控除、障碍者控除、贈与税の控除です。

下記でそれぞれの控除について詳しく説明します。

6-1.配偶者控除

配偶者控除とは配偶者に認められている控除です。

よく配偶者が相続を受ける場合1億6,000万円までは非課税になるというのを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

配偶者控除は1億6,000万円または配偶者の法定相続分のどちらか多い金額までとなります。したがって、1億6,000万円まで配偶者が相続する分には税金はかからないのです。

6-2.未成年者控除

未成年者控除とはその名の通り未成年者に認められている控除です。

未成年者控除の額は満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算しますので、以下の計算式で計算されます。

(20 − 未成年者の年齢)× 10万円

非常にシンプルな計算しやすい控除と言えるでしょう。

6-3.障害者控除

障害者控除もその名の通り障害者に認められている控除です。

障害者控除の額は満85歳になるまでの年数1年につき10万円で計算しますので、以下の計算式で計算されます。なお、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。

満85歳になるまでの年数×10万円(1年未満の期間がある場合は1年として算定)

障害者控除も未成年者控除と同様非常にシンプルな計算しやすい控除と言えるでしょう。

6-4.贈与税の控除

被相続人が亡くなる3年以内に贈与を受けたものに関しては、その贈与がなかったものとして相続財産に加算され、相続税の対象となります。

相続対策として贈与をしている人は多くなってきていますが3年以内の贈与に関しては相続税の対象になりますので注意してください。

ただ被相続人が亡くなる3年以内の贈与で贈与税を納付していた場合は、相続税の額から納付した贈与税額を控除することができます。

7.相続税の2割加算

被相続人の配偶者、父母、子以外が遺産を相続した場合は相続税が2割加算されたうえで控除を算定します。

2割加算について詳しくは下記をご覧ください。

関連記事

8.ケーススタディ

最後に具体的に相続税の計算をしてみましょう。今回用意したケーススタディは以下になります。

相続人
・配偶者
・長男
・次男
(全員:成年しており健常者)

被相続人の資産
・現預金1億円
・生命保険1億円
・不動産(市場時価):土地:1億円(小規模宅地等の特例の対象)、建物5,000万円

負債:なし

*今回は法定相続分通りに財産を相続することとします。
(配偶者2分の1、長男4分の1、次男4分の1)

このケースの場合で、相続税の計算を実際に行ってみましょう。

① 資産・負債の確認

まずは資産・負債の確認を行います。

現預金:1億円
 …控除なし

生命保険:8,500万円
 …500万円×法定相続人が控除になるので今回のケースでは1,500万円の控除ありますので生命保険の課税評価額は8,500万円

不動産:
土地 1,600万円
 …路線価で計算するので市場価格の8割程度。今回は1億円×80%で8,000万円。
更に小規模宅地等の特例が利用できるのでここから80%の控除が可能
8,000万円の80%は6,400万円になるので今回の土地の評価額は、8,000万円-6,400万円の1,600万円。

建物 2,500万円
 …固定資産税評価額で計算するので市場時価の5割で計算。

合計:2億2,600万円

② 法定相続人の確定

今回のケースの場合は、配偶者・長男・次男になります。

③ 基礎控除を引く

今回の基礎控除は法定相続人が3人なので4,800万円です。

2億2,600万円 ― 4.800万円で課税対象額は、1億7,800万円になります。

④ 相続税額を計算する

各相続人の相続税額の計算式は課税遺産総額×法定相続分×相続税率−控除額となります。

配偶者:
(1億7,800万円)×1/2×30%-700万円=1,970万円

長男:
 
(1億7,800万円)×1/4×20%-200万円=690万円

次男:
 
(1億7,800万円)×1/4×20%-200万円=690万円

⑤ 税額控除

配偶者は、配偶者控除が利用できるので相続税は0円、

長男・次男は、利用できる税額控除はないので相続税をそれぞれ690万円納付する。

となります。

まとめ

今回は相続税の計算について説明しました。相続税の納付は一生のうち何度もやるものではありません。ほとんどの方が初めてやるものでしょう。

相続税の計算は複雑ではありますが順序建てて行うことにより自分で計算し納税まで行うことも可能です。

今回の記事を参考に相続税の計算についての理解を深めていただければ幸いです。

東京・神奈川・埼玉・千葉の14拠点で無料相談
まずはフリーダイヤルでお問い合わせください。

フリーダイアル

(平 日)9時00分~18時00分 (土 曜)9時00分~18時00分
(日・祝)10時00分~17時00分 ※一部例外日あり

相続税申告が必要か分からない方でも無料相談!

相続税申告相談プラザでは、 相続税がかかるのか分からない場合でも初回の無料相談から 対応させていただきます。

  • 不動産の評価、金融資産の評価が分からない。
  • 相続税がかからないと思うが、 ギリギリなので確認しておきたい。
  • 相続税の知識がなく、 相談していいかも迷っている。

相談する前に知っておきたい、相続税申告相談プラザ5つの強み

1:初回の無料相談は、完全に無料で対応しています!

なにをどこから手をつけたら良いか、分からない段階から、相談料などの費用が掛かってしまうと、安心して相談する事もできませんね。当法人では、完全に無料相談から相続税申告のサポートをさせていただいております。

無料相談では、「相続税申告が必要かどうか」「相続税が掛かる場合、概算でいくらか」「依頼する場合には、どれぐらいの期間・報酬・実費が掛かりそうか」など、お客様が気になるところを予めきちんとお伝えさせていただきます。

2:非常に柔軟な相談対応が可能です!

無料相談は、平日(9時~18時)に限らず 土曜日(9時~18時)日曜日(10時~17時)も対応しております。 ご相談は事前予約制となっておりますので まずはお電話または予約フォームにてお問合せください。お客様の利便性を重視して柔軟な相談対応をいたします。

また、ご依頼をいただいた後も、一般的な事務所とは異なり、お客様のご都合に合わせて、きちんと対応できる担当者をセットさせていただきます。お気軽にご相談ください。

3:全14拠点で、無料相談を行っております!

当法人の強みは、東京に4拠点(丸の内、新宿、池袋、町田)、神奈川に7拠点、埼玉に2拠点、千葉に1拠点の全14拠点で、お客様対応が可能です。お近くの拠点にてご相談ください。

4:徹底した相続税申告相談プラザ品質で対応します!

当法人の担当者×税理士×国税OBという品質に加えて、当法人の徹底した調査と確認を前提として「この申請に間違いありません」と添付する事で、税務調査は実に1%未満となっております。これは全国平均の25%と比較すると圧倒的な実績となります。

当法人では、相続税申告のお手伝いをさせていただく方の大半(累計実績99%)の方に対して、書面添付制度を使って申告をさせていただいております。これによって、万が一のときにも追徴課税が通常に申告するよりも、安く抑える事ができます。専門家としてお手伝いさせていただくからには、プロフェッショナルとしての品質で必ずお役に立ちます。

5:お客様の状況に合わせて親身に対応します!

私たちの強みは、お客様ファーストで対応する事にあります。「申告期限に間に合わせたい」「納税資金が足りないので相談にのって欲しい」「出来るだけ適正に不動産評価を下げて欲しい」「将来、税務署につつかれないようにして欲しい」「…という事情があるので、報酬の調整を相談させて欲しい」「一番、税金が安くなる遺産分割の方法と、割合を教えて欲しい」など、お客様のご要望は様々です。

私たちは頭のかたい税理士法人ではありません。お客様ファーストの発想で、出来るだけお客様のお役に立てるよう、コーディネートをさせていただきます。

ランドマーク税理士法人 テレビCM

運営法人のランドマーク税理士法人のテーマソングと、突然現れる税理士に釘付け!!一度見たらクセになる!?是非ご覧ください。

【畑篇 30秒】

【住宅街篇 30秒】

東京・神奈川・埼玉・千葉の14拠点で無料相談
まずはフリーダイヤルでお問い合わせください。

フリーダイアル

(平 日)9時00分~18時00分 (土 曜)9時00分~18時00分
(日・祝)10時00分~17時00分 ※一部例外日あり

相続税申告が必要か分からない方でも無料相談!

相続税申告相談プラザでは、 相続税がかかるのか分からない場合でも初回の無料相談から 対応させていただきます。

  • 不動産の評価、金融資産の評価が分からない。
  • 相続税がかからないと思うが、 ギリギリなので確認しておきたい。
  • 相続税の知識がなく、 相談していいかも迷っている。