法人の確定申告とは?個人の確定申告との違いや基本的な流れを解説

法人であっても確定申告は必要です。
個人事業主から法人を設立した方の中には、「法人の確定申告はどうすればいいのか」「法人の確定申告と、個人事業主の確定申告の違いは何か」といった疑問を持っている方もいるでしょう。
法人の確定申告は税理士に一任するケースが多いですが、経営者は確定申告の基本的な流れや申告期限を守らなかったときのペナルティ等について知っておく必要があります。
本記事では、法人の確定申告の基本的な流れや、個人事業主の確定申告との違い、申告期限を守らなかった場合のペナルティについて解説します。

1. 法人の確定申告について確認しましょう

法人の確定申告とは、法人が納めるべき税を申告する手続きのことです。
法人とは、法律によって「人」と同じように権利や義務を持つことが認められた組織や団体の総称です。
法人に課せられる税のうち、確定申告が必要な税は以下のとおりです。

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 消費税

このうち「法人税」「法人住民税」「法人事業税」の3つは、法人活動で得た所得に課せられる税金です。そのため、「法人税等」とまとめて表記されることもあります。
法人の確定申告は、単に年間の売り上げを帳簿につけて定められた書類に記載し、税務署に申告すれば終わりではありません。
法人が確定申告をする場合「会社法」に従い、事業年度ごとに「決算」を行います。そして、決算に基づいて「決算書」を作成します。作成した「決算書」は会社法で定められた機関による承認を受けないと認められません。
株式会社の場合は、原則として株主総会で決算書を開示します。
決算書が確定したら、それに基づいて確定申告を行って税務署に申告します。
つまり、法人が確定申告をする場合は「決算書の作成と承認」という作業が事前に必要です。

2. 確定申告について

ここでは、「中間申告」の概要や個人の確定申告との違いをもう少し詳しく紹介します。
特に、個人事業主から法人を設立した場合は「確定申告なら何度もしたことがある」と油断して、直前に慌てるケースもあります。
個人の確定申告と何が違うのか、しっかりと把握しておきましょう。

2-1 中間申告とは

中間申告とは、事業年度の途中でその期の税金の一部を納める制度です。個人事業主でも、「消費納税額が48万円を超えた事業者」は消費税の中間申告が可能です。
法人の場合は、「前事業年度の法人税額が20万円を超えた事業者」が原則として中間申告が必要になります。
そのため、新設法人は対象外です。
法人税額が20万円を超えた事業者には、税務署から中間申告書が送付されてくるので必要事項を記入したうえで、税務署に提出してください。e-Taxで確定申告を行っている場合はメッセージボックスに中間申告が必要な旨のメールが届きます。
法人税が20万円を超えた事業者は「中間申告が必要なもの」と思っておきましょう。
中間申告の申告方法には「予定申告」と「仮決算」の2種類があります。
どちらの方法を採用するかは事業者の自由です。事前の申告は必要ありません。
予定申告の場合は、前事業年度の決算時に確定した法人税額及び確定消費税額を基準として計算した額を申告する方法です。計算式は「前期分の確定法人税額÷12×6」と単純なので、計算が簡単なのがメリットです。
なお、中間申告で納税する額は単に1年間に収める税金の半額ではありません。計算式を用いて計算すると、きっかり半額にならないので、きちんと確認してください。
納める法人税の額が大きくなるほど、差が大きくなります。

仮決算は、文字通り仮の決算を行う方法です。中間申告の対象期間を課税期間とみなして決算を行いますが、仮とはいえ決算なので決算処理が必要です。予定申告より手間がかかるので仮決算を利用する事業者は少ないのですが、前期の利益に対して今期の利益が少なく、資金繰りが厳しい場合は決算時期を短くすることで資金繰りが楽になる場合もあります。

仮決算と予定申告のどちらが有利なのか知りたい場合は、税理士への相談がおすすめです。

2-2 個人の確定申告との違い

個人事業主と法人の確定申告の違いは以下のとおりです。

  • 納める税金の種類
  • 申告に必要な書類
  • 確定申告の時期

個人事業主の場合、確定申告で申告する税金は所得税・住民税・消費税等です。一方、法人の場合は前述したように法人税・法人住民税・法人事業税・消費税等を申告します。
個人事業主の場合、事業の収入と事業主の収入は同じです。しかし、法人の場合は会社の利益と経営者の収入は異なります。そのため、税金の種類も異なります。
たとえ従業員が経営者1名だけの法人であっても、会社の利益と個人の収入は分けて計算する必要があります。

個人事業主が確定申告に必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • 収支内訳書や青色申告決算書
  • 消費税申告書(必要な人のみ)

個人事業主は、白色申告と青色申告があります。
法人の確定申告に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 法人税等申告書
  • 消費税申告書
  • 決算報告書
  • 総勘定元帳および勘定科目内訳明細書等

なお、消費税はインボイス発行事業者以外、課税売上高が1,000万円未満の事業者は、納税義務がありません。そのため、インボイス発行事業者以外の法人は、法人が設立して1年目で課税売上高が1,000万円未満の場合、消費税の申告は必要ないことを覚えておきましょう。

このほか、申告に必要な書類は個人事業者が7年、法人は10年間の保管が義務付けられています。確定申告をe-Taxで行った場合は電子、書類で提出した場合は紙での保管が原則です。ただし、一定の条件を満たせば書類で確定申告を行った場合も必要な書類を電子で保管することができます。

確定申告の時期は、個人事業者が原則として2月半ば(16~18日)から3月15日までなのに対し、法人は事業者が定めた事業年度終了後の2ヶ月以内です。例えば、事業年度が6月から翌年6月の場合、確定申告の時期は7月1日~8月31日までとなっています。決算時期といえば3月の事業者が多いのですが、必ずしも3月である必要はありません。
事業の繁忙期も考えて事業年度を選びましょう。

3. 法人の確定申告の流れ

ここでは、法人の確定申告をする基本的な流れを解説します。税理士にすべてを任せている場合も、経営者は基本的な流れを理解しておきましょう。

3-1 必要書類

確定申告を行う場合、税目によって必要な書類が異なります。
まずは各税金の申告書です。法人の場合は、以下のとおりです。

  • 法人税申告書
  • 消費税及び地方消費税の確定申告書
  • 法人住民税の申告書(都道府県・市町村)
  • 法人事業税

申告書を作成するには、決算報告書・法人事業概況説明書・勘定科目内訳明細書等が必要です。
税理士に帳簿付けから申告書作成まで一括して依頼する場合は、特に経営者は用意するものはありませんが、必要な書類の種類は把握しておきましょう。

3-2 申告書を作成する

申告書を作成するには、決算書の作成が必要です。
決算書の作成手順は以下のとおりです。

  • 帳簿への記帳にミスや漏れがないか確認する
  • 決算整理仕訳を行う
  • 決算書を作成する

帳簿への記帳は、まとめてやろうとするとミスや漏れが多くなります。
従業員が自分1人であっても帳簿は月々、もしくは毎月行いましょう。
近年は、毎月の帳簿付けを税理士事務所に依頼できるサービスもあります。
事業が忙しくて帳簿をつける余裕がない場合や、経理専門の人材を雇う余裕がない場合は利用してみると確定申告の作業が楽になります。
帳簿が正確であれば、決算書の作成も簡単です。
近年は会社の決算書も作成できる会計ソフトも充実しています。
決算書作成の知識がなくても、正確な帳簿があれば決算書や申告書の作成も簡単にできるでしょう。
会社が大きくなったり、節税を行ったりしたい場合は、専門家に作成を依頼したほうがミスもなく節税効果が高い可能性もあります。
今まですべて自分で行っていた場合も、会社が大きくなったり売り上げが順調だったりした場合は、税理士への相談や依頼も検討してください。

申告書を作成したら、法人税・消費税は所轄税務署、法人事業税・法人住民税は都道府県税事務所に申告してください。e-Taxを利用すれば送付先を間違えることはありません。なお、消費税は「地方消費税」であっても税務署に申告します。

3-3 納税する

法人の税金は、以下のような方法で納められます。

  • 税務署の窓口で直接納付
  • 金融機関の窓口で直接納付
  • コンビニエンスストアで直接納付
  • クレジットカード納付
  • スマートフォンアプリでの納付
  • 電子での納付

特定の方法を選択すれば、税金が割引になるといったものはありません。
税金の額や納付しやすい手段を利用しましょう。
なお、以下の税金は事業年度の終了後2カ月以内に収める必要があります。

  • 法人税
  • 法人事業税
  • 法人住民税
  • 地方法人税
  • 特別法人事業税
  • 消費税

1つ1つの税金の額は少なくても、6つもあればまとまった金額になります。
企業は決算時期を自由に選べるので、税金の支払いも考えて決算月を決めましょう。

4. 申告期限を守らなかった場合のペナルティ

法人でも、確定申告の申告期限を守らなかった場合はペナルティが課せられます。
ここでは、申告期限を守らなかった場合に課せられる税金について解説します。
税金の額によっては、ペナルティの金額だけでまとまった金額になるため、申告期限は必ず守りましょう。
なお、申告期限を守らなかった場合、税務署から通告がいくまで申告しないほうがペナルティは重くなります。

4-1 延滞税

延滞税とは、納税が期限に遅れたことに対するペナルティとしての税金です。
税率は原則として7.3%です。ただし、「延滞税特例基準割合+1%」が7.3%を下回る場合は、「延滞税特例基準割合+1%」が適用されます。
なお、延滞税特例基準割合は毎年変わるため、最新の情報を知りたい場合は税理士に相談するか国税庁のwebサイトをチェックしてください。

4-2 無申告加算税

無申告加算税は、期限内に申告しなかったことに対するペナルティです。税率は以下のとおりです。

  • 納付が必要な税金のうち、50万円を下回る部分=納めるべき税額×15%
  • 納付が必要な税金のうち、50万円を上回る部分=納めるべき税額×20%

つまり、納付する税金が70万円の場合は、50万円×15%+20万円×20%となります。
なお、自分で「申告期限に間に合いません」と申告した場合は、「納めるべき税額×5%」に減額されます。
また、法定申告期限から1カ月以内に申告した場合で、5年以内に重加算税や延滞税の支払いをした経験がない場合は、無申告加算税は免除されます。
しかし、申告期限を過ぎた場合、税務署の印象は確実に悪くなるので注意しましょう。

4-3 重加算税

重加算税は、以下のような場合に課せられるペナルティとしての税金です。

  • 無申告かつその内容が悪質な場合
  • 申告の内容に意図的な嘘、ごまかしがある場合

なお、重加算税は申告期限内に申告しても意図的に申告内容に嘘やごまかしがある場合にも課せられる場合があります。
重加算税の税率は以下のとおりです。

  • 無申告かつ内容が悪質の場合:本来納めるべき税金の40%
  • 申告の内容に嘘や隠ぺいがあった場合:本来納めるべき税金の35%

つまり、税金が50万円で無申告だった場合は90万円、所得隠しなどを行った場合は、85万円の支払いが課せられます。
税金は正しく支払うのが最も節税になります。
法人は監査が入る場合もあるため、申告は正確に行いましょう。

5. 申告・納税が期限内にできない場合

諸事情があってどうしても期限内に申告や納税ができない場合は、必要な手続きをすればペナルティを課せられません。
ここでは、提出期限の延長や納税猶予の申請方法を紹介します。
覚えておけば、いざというときに役立つでしょう。

5-1 提出期限の延長

やむを得ない事情で確定申告の期限までに申告が間に合わない場合は、所轄税務署長宛てに「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書」を提出します。
提出期限は、事業年度終了の日までです。
提出期限の延長は1ヵ月までであり、長期間の延長はできません。注意しましょう。

なお、地震、台風、水害など大規模な災害が発生した場合は、税務署が提出期限の延長を発表します。この場合は、特定の手続きは必要ありません。

ちなみに、申告の延長は認められても納税の延長は原則として認められません。納期までに必ず税金を納めましょう。

5-2 納税猶予の申請

税金がどうしても支払えない場合は、納税猶予の申請が可能です。
国税と地方税では申請先が異なるので注意しましょう。
ただし、認められるとは限りません。
特定の税金のみ猶予が認められるケースがあります。
納税が難しい場合はまず税理士や、税務署の相談窓口に相談に行くのがおすすめです。

まとめ

本記事では、法人の確定申告の流れや方法について解説しました。
個人事業主とは必要な書類、確定申告の時期、納めるべき税金が異なります。
初年度は可能であれば税理士など税のプロに相談するのもおすすめです。
また、税理士にすべてを任せている場合も確定申告の流れややり方、納めるべき税金を把握しておきましょう。

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