e農Net実践経営講座バックナンバー

特別控除は初年度だけ

※2012年9月時点の税制をもとに改訂しています。

収用により譲渡した場合の税務

道路の拡張などに伴って市に収用された場合には、特別控除の5,000万円と代替資産の取得という特例が受けられます。収用により土地を譲渡しなければな らないこととなった場合には、その譲渡益から5,000万円控除か、それとも補償金で代替資産を取得するか、納税者の有利選択が認められています。
 ただし、これらの特例にも制約があるので注意してください。それは最初に買い取りの申し出があってから6ヶ月以内に売買契約を締結しないと受けられないということです。買い取り申し出後、もっと高い価額で売買しようとする「ゴネドク」は許さないという立場から、6ヶ月という時期が決められています。

 収用の補償金としては対価補償金・収益補償金・経費補償金・移転補償金等があります。土地などの譲渡の特例を受けられるのは、対価補償金に該当するものです。収益補償金は、事業を休止するにあたっての補償金であり、不動産所得・事業所得などの収入に加えます。

経費補償金も事業の廃止・休業に伴って発生する損失の補填であり、不動産所得・事業所得などの収入に含めます。移転補償金は、移転するためにかかった費用の補填であり、余った部分については一時所得の対象になります。
 また、5,000万円の特別控除については、2期以上に渡って同じ事業で収用があった場合に、毎回適用できるわけではなく、初年度にだけ控除することができます。初年度に代替を適用したほうが有利かどうかの検討が必要です。

 ここで代替資産の対象となる資産は「個別法」・「一組法」・「事業継続法」の対象となる3種類に限定されています。
 個別法と は、土地などに対しては土地などのみが対象に建物・構築物等に対しては建物・構築物等のみが代替資産として認められ、用途は問わないというものです。例えば、土地の補償金9,000万円、建物の補償金3,000万円の入金があり、その代替資産として土地7,000万円、建物5,000万円を取得した場合、 土地の代替部分は7,000万円となります。その結果、9,000万円-7,000万円の2,000万円が課税対象となります。

一組法とは、2以上の資産を組み合わせて以下の一の用に供しているとき、

  1. 1.居住の用
  2. 2.店舗又は事務所の用
  3. 3.工場、発電所または変電所の用
  4. 4.倉庫の用
  5. 5.その他

例えば、居住の用に供していた土地・建物を8,000万円で収用され、8,000万円の土地建物を取得した場合には税金が課税されないこととなります。ただし、同じ用途に供されていたとしても、土地・建物の所有者が違う場合にはこの一組法の適用はありません。
父の土地の上に子供が建物を有していた等の場合には、この一組法の適用はありませんので注意してください。

 

事業継続法とは、収用にかかった土地・建物等が事業用である場合には上記の個別法・一組法の適用に関係なく、代替の対象となるものです。例えば、農地が2億円で収用され賃貸用マンション2億円を、その資金で建設した場合には代替の対象となり、譲渡が無かったものとして扱われます。ただし、代替は課税の繰り延べとも言われます。譲渡が無かったと扱われても、賃貸物件の取得価格は2億円とはされず、収用された土地の取得価格を引き継ぎます。従って、祖先から受け継いだ農地であれば、概算取得費1,000万円で取得したマンションとして扱われ、減価償却費が極めて少なくなり、毎年の所得税が多額になります。
同様に土地が収用され、代替として土地を取得した場合にも、次に代替した土地を売却する場合には、元の土地の取得価格が取得原価として扱われます。例えば、先祖から引き継いだ土地が1億円で収用され、1億円で代替資産を取得したとします。その代替資産を売却した場合には、1億円が取得価格とはならずに、元の土地の取得原価が土地の取得費として扱われます。

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