相続登記に期限は無い!相続登記を放置しておくことの5つのデメリット

亡くなった人が持っていた不動産の名義を、相続した人に名義変更することを相続登記といいます。

相続に関する様々な手続きには期限があることが多いですが、相続登記にも期限があるのか気になるところですよね。

結論からいうと、相続登記には期限がありません。いつ登記変更しても良いですし、登記変更しなくても罰則などはありません。先祖代々受け継いだ家に住んでいて、名義が祖父のまま、なんていうケースも少なくありません。

期限が無い相続登記ですが、放っておくと不動産を売却したいときに手間や費用が余計にかかってしまったり、相続人の間で揉め事に発展してしまったりと、面倒なことになりかねません。

相続登記をしないことのデメリットについても詳しく説明しますから、しっかりと理解した上で早めに相続登記しておきましょう。

1.期限は無いがすぐにやった方がいい相続登記

相続登記には、いつまでにやらなければいけないといった期限がありません。

相続税の申告や納税などとは違い、相続登記は義務ではありません。

不動産の登記には費用がかかりますから、義務ではないなら登記しなくてもいいと思ってしまう人もいるでしょう。

ところが、相続した不動産の登記をきちんとしておかないと、後々面倒なことになってしまいます。相続登記をしない場合のデメリットについては2章で説明しますが、後の相続がスムーズに進まなくなったり不動産を売りたいときに余計な手間と費用がかかってしまったりする可能性があります。

遺産分割協議で誰が不動産を相続するのかが決まったら、すぐに登記をしましょう。目安として、相続が起こってから1年以内に登記することをおすすめしています。

相続税申告の期限が相続開始から10ヶ月ですから、それが終わったからといって安心せずに相続登記まで済ませてしまいましょう。

また、近年持ち主がわからない土地や空き家が増えていることを受け、政府は相続登記の義務化を検討しています。現時点では期限が定められていない相続登記ですが、2020年までに登記の義務化に向けて法律を改正するようです。

相続登記は先延ばしにせず、早めにやりましょう。

2.相続登記をしない場合の5つのデメリット

相続登記をしないことで考えられるデメリットとして下記の5つがあります。

・不動産を売れない・担保設定ができない

・権利関係が複雑に

・認知症等で遺産分割が困難に

・相続人の債権者による差し押さえも

・登記に必要な書類が入手困難に

不動産を売れない・担保設定ができない

相続登記をしないままにしておくと、不動産の名義は被相続人(亡くなった人)のままです。他人名義の不動産を売ったり、担保として設定したりということはできません。

今は売る気が無いからそのままにしておこうと考える人もいるかもしれませんが、いつか売ろうとするときに権利関係が複雑になってしまっていたり、いざその時に登記しようとしても書類が手に入らなくなってしまったりと、スムーズに進めることができなくなってしまいます。

ご自身が先祖代々から引き継いだご自宅を売却する気はなくても、お子さんやお孫さんの代にどうなるかは分からないですよね。

次の世代の人たちが困ることのないよう、早めに相続登記をしておきましょう。

権利関係が複雑に

相続登記をきちんとしておかないと代が進むごとに相続人の数が多くなり、権利関係が複雑になってしまいます。

相続した不動産は、名義が亡くなった人のままだと相続人全員の共有の状態となります。

亡くなった人の子の代も皆亡くなり、登記をまだそのままにしていたとします。

孫の代でも登記変更しなかった場合には、ひ孫の代の相続権を主張できる人数は非常に多くなってしまいます。

登記上は相続人全員の共有状態ですから、権利関係が非常に複雑になっています。

下の図をご覧ください。

相続 登記 期限 家系図

名義人が亡くなったときには相続人は5人でした。この時に相続登記しておけば、権利関係の図がここまで大きくなることはありませんでした。

現時点では、不動産の相続権がある人数が18人まで膨れ上がってしまっています。

この時点でやっと不動産の登記変更をしようと思ったとしても、登記を誰に変更をするかで揉める可能性がありますし、登記に必要な相続人全員の書類を集めるのも一苦労です。

顔も見たことが無いような遠い親戚と揉めずに済むよう、相続登記は一代ごとに行いましょう。

認知症等で遺産分割が困難に

相続放棄を放っておくと相続人が高齢化しますから、認知症を発症するリスクが高まります。

相続人の判断能力がなくなった場合、成年後見人をつけないと遺産分割協議に参加することができません。

相続人の間で財産をどう分けるかを話し合う遺産分割協議も法律行為ですから、判断能力が無い人が成年後見人をつけずに参加した遺産分割協議は無効となります。

成年後見人を立てるのにも時間がかかりますから、早急に不動産を処分したいときには困ってしまいます。

さらに、成年後見人はその相続人の財産を守るために法定相続分かそれ以上の取り分を主張します。

相続税の金額は分割方法によって節税することができますが、この場合には相続人全体で支払うことになる税額が高くなってしまっても仕方がありません。

相続人に判断能力があるうちに早めに相続登記をやっておいた方が良いでしょう。

相続人の債権者による差し押さえも

相続人の中に借金している人がいる場合には注意が必要です。

相続人にお金を貸している債権者は、債権を守るために代位登記という相続人の代わりに行う登記をし、不動産を差し押さえることができます。

相続登記をしていない不動産は相続人の間で共有の状態になりますから、債権者が登記できてしまうわけです。

借金を返さない限り、その不動産の名義を他の人に移すことができません。

このようなことが起こらないように、不動産の名義は早めに変更しておきましょう。

登記に必要な書類が入手困難に

相続登記をするには、亡くなった方の住民票(除票)または戸籍の附票が必要です。

亡くなった方の住民票や戸籍謄本等は、役所の保存期限が決まっています。

その期限を超えてしまうと相続登記をしようとする時に必要書類が取れなくなってしまいます。

住民票(除票)の保存期限は5年、亡くなった方の戸籍は150年で古い場合には50年もしくは80年です。

ですが、戸籍が除籍や原戸籍になっている場合には、附票の保存期間も5年になります。

保存期間が過ぎて処分されてしまった書類は再入手できませんから、別個の書類を取ったり、法務局に相談したりしながら手続きを進めていく必要があります。

場合によっては、相続人全員が捺印した合意書を用意する必要もあります。

必要書類の保存期限が過ぎた後の相続登記はイレギュラーなケースですので、書類を集めるための決まった方法やマニュアルもありません。

一般の方にとっては手間と労力が非常に大きく、士業の先生に相談する人がほとんどです。

費用も手間も必要以上にかかりますから、相続から5年が経たないように気をつけましょう。

3.相続登記をするにあたって知りたい3つのこと

相続登記の必要性はお分かりいただけたかと思いますが、費用や必要書類が気になるところですよね。

ここでは、相続登記をするにあたって最低限知っておきたい3つのこと
・相続登記の手続きの流れ
・相続登記に必要な書類
・相続登記にかかる費用
を簡単に説明していきます。

基本的にはご自身で手続きすることができますが、時間や手間を省きたい方は司法書士に依頼をしてみるといいでしょう。

3-1.相続登記の流れ

相続登記の手続きの流れとして、大きく分けると3つのステップがあります。

ここでは大まかな流れを掴んでいただければと思います。

ステップ1:必要書類を集める

相続登記では亡くなった方と相続人についての資料を提出する必要があります。

どのような書類が必要なのかは次の章で説明しますが、役所で取得します。

ステップ2:不動産を誰が相続するのかを決める

遺言に書かれている場合にはその通りに登記すればいいのですが、無い場合には相続人全員で遺産分割協議という話し合いをし、遺産分割協議書を作成します。

この話し合いで揉めてしまい法定相続分で相続することになった場合にはその割合で登記することになります。

ステップ3:登記申請書を作成して法務局で申請をする

必要書類を集めたら、登記申請書を作成します。登記申請書は相続のパターンによって様式が異なりますので、ご注意ください。

申請の際には登録免許税が納付してある必要があります。

事前に納付する場合には金融機関で現金納付もしくは収入印紙を購入し、法務局で当日納付する場合には収入印紙をその場で購入します。

申請はオンラインでもできますが、ソフトのインストールが必要ですからパソコンの操作に抵抗が無い人にはおすすめです。

3-2.相続登記に必要な書類

相続登記をするには、相続登記申請書をその不動産の所在地を管轄している法務局に提出します。

その際に必要な書類は下記の通りです。

・相続人全員の印鑑証明書

・被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)

・相続人全員の戸籍謄本・住民票

・固定資産税評価証明書

・遺言書または遺産分割協議書

基本的にはご自身で収集していただけますが、面倒な方や時間が取れない方は司法書士に依頼することもできます。

3-3.相続登記にかかる費用

相続登記にかかる費用を簡単に説明します。

どのくらいの費用がかかるのかの参考にしていただければと思います。

・登録免許税

相続登記をするときには登録免許税という税金がかかります。

登録免許税の税額は、不動産の固定資産税評価額×0.4%で計算されます。

例えば固定資産税評価額が5,000万円の不動産の場合、20万円の登録免許税がかかります。

税制改正で相続登記の登録免許税を免税にできる措置ができました

 

下の図のように、相続登記をしないまま亡くなってしまったBから土地の権利を相続した場合に、Bをその土地の名義人とするための相続登記については登録免許税を払わないで済むようになりました。

対象は2018年4月1日から2021年3月31日までの間にBを名義人にするための登記です。

免税の適用を受けるためには申請書に記載が必要ですから、詳しくは法務局のHPをご覧ください。

・司法書士への報酬

こちらは自分で手続きする人はかかりませんが、相続登記を司法書士に依頼した場合の費用は、目安としては7万円から10万円程度です。

権利関係が複雑な人、手続きをする時間がとれない人は司法書士に見積りをとってみると良いかもしれません。

・必要書類の交付手数料

相続登記には戸籍謄本や固定資産税の評価証明書など、法務局に提出しなければいけない書類があります。相続人の人数などの状況にもよりますが、一般的な相続登記は数千円程度で済むケースが大半です。

遠方の役所に書類の請求をする場合には郵便代・交通費もかかってきます。

以上が相続登記の主な費用です。

費用を安く抑えたい方は、ご自身で手続きをしましょう。不安な部分がある場合には法務局に問い合わせると良いでしょう。

登録免許税は安くはありませんから、費用面で登記をしようか迷う方もいると思います。

ただ、2章で説明した通り相続登記をしないままにしておくと後々余計な費用が発生することもありますし、揉め事に発展したときの手間や労力は計り知れませんから、早めにやることをおすすめします。

4.まとめ

相続登記にはいつまでにしなければいけないという期限はありません。

ただし、相続登記をせずに放っておくと後々必要な書類が取得できなくなったり、余計な費用と手間がかかったりと面倒なことになってしまいます。

相続登記はご自身で手続きすることができますが、権利関係が複雑な場合や時間が無い方は専門家である司法書士に依頼することも考えた方がいいかもしれません。

不動産を引き継ぐであろう子供や孫、その先の世代のためにも相続登記はできるだけ早く済ませてしまいましょう。

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